社会•事件 福岡女性殺害事件 元少年の母に賠償命令 福岡高裁判決 監督義務を怠る
福岡女性殺害事件 元少年の母に賠償命令 福岡高裁判決 監督義務を怠る
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2026/04/13

 少年犯罪の責任を親も負うべきなのか――。福岡市の商業施設で2020年8月、女性客(当時21歳)が当時15歳だった元少年の男(20)に刺殺された事件を巡り、遺族が男と男の母親に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は3月25日、母親に男と連帯して計約5400万円を支払うよう命じた。裁判長は「母親が指導監督を怠らなければ事件を防止できた」と指摘し、全面的に母親の責任を認めた形となった。

 

■1審福岡地裁は親の賠償認めず

福岡高裁判決によると、男は小学生の頃から暴力を振るうようになり、少年院の入退院を繰り返した後、2020年8月に少年院を仮退院。母親から身元引き受けを拒否されて更生保護施設に入所したものの、わずか1日で抜け出し、女性を殺害する凶行に走った。

昨年3月に言い渡された1審・福岡地裁判決は、男のみに賠償を命じた一方で、母親については男と4年半にわたって同居していなかった点などから、監督義務はなかったとして責任を認めなかった。

ただ、今回の高裁判決は、少年院に入っている間に母親が男との面会を行っていた点を重視。身元の引き受けを拒否すれば、男が精神的に不安定になって暴力を振るうことにつながりうる点を懸念していたとして、「他者に危害を加える恐れを予見していた」とみなし、男への監督義務を怠ったと判断した。

 

■賠償金逃れを許すな

最高裁は1974年、親などの監督義務者の義務違反と、未成年者の不法行為によって生じた結果との間に「相当因果関係を認めるとき」に親が賠償責任を負うとの判断を示し、これまでも親の責任が争われた同様ケースでは、最高裁の判断が踏襲されてきた。

地裁の判断から一転し、親の責任を認めた今回の福岡高裁判決は、親として背負うべき子供の監督責任を強く認めた形と言えるだろう。

ただ、殺人事件などを巡って遺族が損害賠償を求めたケースでは、加害者にせよ親にせよ、賠償を命じられながら応じないケースは後を絶たない。今回は親の責任を認めたとはいえ、実際に支払われるかは別次元の問題だ。

とはいえ、司法の場で命じられた賠償金の「支払い逃れ」が許されるわけがない。政府は加害者側に賠償金を適切に支払わせるための仕組み作りを急ぐべきだろう。(桜田亮)

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