政治•経済 南米ベネズエラ情勢は今後どうなるか
南米ベネズエラ情勢は今後どうなるか
政治•経済

2026/01/08

 正月早々のトランプ政権によるベネズエラ大統領マドゥロの拉致逮捕は、世界に衝撃を与えた事は確かだが、今後どうなるのか占ってみよう。

 

 トランプは、世界最大規模の埋蔵量を誇る石油資源の確保を強調していたが、老朽化した石油採掘施設の再建から始める必要があり、技術者や工事関係者等の民間人を送り込む必要がある。だが、民間人だけを送り込めば、テロや反米ゲリラの標的になるだけだろう。米民間人の護衛として米軍を駐留させようにも、国際社会や国内の民主党系リベラル派に批判されるだけでなく、トランプ政権の支持基盤であるMAGA派や保守派の離反も招きかねない。

 

かといって「ブラックウォーターUSA」(Blackwater USA、現コンステリス・ホールディングス)のような民間会社の傭兵に護衛させても、上手くいかなかったことは、イラク戦争で証明済みなのだ。

 

 反政府ゲリラやパルチザンの闘争が成功する要諦は、周囲に武器の供給ルートを黙認し、ゲリラが逃げ込める聖域を提供してくれる国境を接する中立国の存在が不可欠だ。イラク戦争のイラン、アフガニスタン戦争のパキスタン、ベトナム戦争では、カンボジアやラオスがこれに相当する。

 

 ベネズエラと国境を接する国は、ブラジル、コロンビア、ガイアナの3カ国であるが、反米ゲリラへの武器供給を黙認する可能性があるのは、コロンビアのグスタボ・ペトロ政権だろう。ガイアナはベネズエラとの間に歴史的な領土紛争があるし、ブラジルのロマイラ州は、アマゾンジャングルの最深部にあり、僻地に過ぎる。だからトランプは、ペトロ政権に「次はお前の番だぞ」と恫喝しているわけだ。

 

 左翼ゲリラ「4月19日運動(M-19)」元メンバーだった経歴を持つペトロ・コロンビア大統領が、トランプの恫喝に屈するかは、中露の支援と周辺諸国の支持次第だろう。

コロンビアの武器生産力は限られているから、中露からの武器供給がなければ、ペトロ政権がベネズエラの反米勢力への支援しようにも限定的なのものとなる。

 

そこでトランプお得意のディール(取引)が始まるわけだ。ロシアのプーチンに対しては、ウクライナ領土の割譲という取引材料があるが、問題は中国の習近平とのディールで、中南米の反米勢力への支援を止めさせるかことができるのかである。

 

トランプが、「台湾は、中国領として認めてやるから、西半球の中南米からは手を引いて貰いたい」というディールを中国に持ちかけた場合、習近平主席がこれに応ずる可能性があるのか? 

日本の安全保障にとっても、重大な影響を及ぼしかねないが、筆者はその可能性は限りなくゼロに近いと考えている。

 

(青山みつお)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

TIMES

政治•経済