2026/03/13
今日、世界はトランプ大統領による「力による平和」がもたらす、かつてない激震に見舞われている。1月に電撃的に実行されたベネズエラへの軍事介入とマドゥロ政権の事実上の解体に続き、2月28日、米国とイスラエルはイランへの大規模な空爆作戦「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」を断行した。この電光石火の攻撃により、長年イランの絶対権力者として君臨してきた最高指導者アリ・ハメネイ師が死亡したという報は、単なる一国の大統領の死を超え、第二次世界大戦後に築き上げられた国際秩序の終焉と、剥き出しの覇権主義への回帰を象徴する歴史的転換点となった。
トランプ政権が掲げる、敵対勢力を対話ではなく物理的破壊によって屈服させる弱肉強食の外交姿勢は、国際法の枠組みや同盟諸国との協調を軽視し、自国の利益と圧倒的な軍事力を直結させる極めて危うい賭けである。ベネズエラでの成功に味を占めたワシントンは、次なる標的として中東の火薬庫であるイランを選んだ。トランプ氏はハメネイ師の死を「イラン国民が抑圧から解放され、祖国を取り戻すチャンスだ」と称え、テロ支援国家の心臓部を撃ち抜いたことを自身の偉大な功績として喧伝している。しかし、その背後にあるのは、米国内での支持率低迷や、経済政策を巡る司法との対立といった内政上の苦境を、劇的な対外勝利によって塗り替えようとする冷徹な政治計算に他ならない。
現在、ハメネイ師を失ったイラン国内は、建国以来最大の混乱に陥っている。首都テヘランでは軍の一部が蜂起し、最高指導者の次男であるモジタバ師を中心とした体制維持派と、混乱に乗じて自由を求める民主化勢力が衝突を繰り返している。トランプ政権はこの混沌を「民主化への産みの苦しみ」と呼び、親米政権の樹立に向けた工作を加速させているが、指導部を失った巨大な軍事国家が予測不能な暴走を始めるリスクは無視できない。中東全域に展開する親イラン武装組織による報復テロや、原油供給網の遮断、さらには核開発施設の暴発といった懸念が、世界経済を暗雲のように覆っている。
この一連の動きは、かつて機能していた多国間主義が完全に形骸化し、強者が弱者を食らう「ジャングルの法則」が国際政治の表舞台に復帰したことを示唆している。トランプ大統領は「目標が達成されるまで攻撃を緩めることはない」と宣言し、次はどの国家が標的になるのかという恐怖を世界に植え付けている。暴力による一方的な現状変更が、果たして真の安定をもたらすのか、あるいはさらなる憎しみの連鎖と混沌の序章となるのか。ベネズエラ、そしてイラン。トランプ氏が仕掛けるこの「弱肉強食のチェス」は、今後世界をいっそう不安定なものにするだろう。
(ジョワキン)
TIMES
政治•経済
常に人気企業ランキングで上位に選ばれる三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、8月26日、総合金融サービス「エムット」で2つの新施策を発表した。富裕層向け会員組織「エムット」とデジタル相続プラットフォーム「エ […]
2026.09.10
私の好きな落語家の一人である笑福亭由瓶さんのまくらにこんな趣旨のくだりがある。「私クラスの落語家になると娘を私立の高校に行かせることができるんですよ」。堂々とした物言いに感心しかけると、実は無償化のおかげだというオチが […]
2026.09.09
人工知能(AI)を使った企業法務などを支援するデジタルサービス「リーガルテック」を巡り、弁護士法で違法とされる「非弁行為」との線引きを図る狙いがありそうだ。法務省が8月21日、リーガルテックに関する新たなガイドライン( […]
少子化と人口減少が進む日本にとって、自衛隊の人的基盤をどう維持するかは、もはや避けて通れない安全保障上の課題である。自衛官の採用環境は厳しさを増しており、政府も処遇改善や採用制度の見直しを進めている。そうした中で浮上し得 […]
2026.09.08
今年4月16日、米連邦議会公聴会で議員や専門家は、世界的なAI開発競争において、中国は「買えるものは買い、買えないものは盗んでいる」と非難した。 中国スパイの脅威はこうした直接的な特許や技術の窃盗ばかりではない。ロサン […]
ウェブサイトのデザインによって巧みに消費者を誘導する「ダークパターン」を巡り、ようやく国が規制に乗り出す見通しだ。消費者庁は、ウェブサイトの商取引で「意図せず定期購入になっていた」「サブスクが解約できない」といった声が […]
月刊タイムズ 最新号