2025/04/07
今はやりのアクティビストから目を付けられないように、戦々恐々の上場企業
日本は、米国に比べて大量保有ルールの運用が緩いと内外から指摘されている。それは金融当局によるエンフォースメント(法執行)が弱いためで、数多くのアクティビストファンド(物言う株主)が日本市場に進出する要因になっている。これまでの投資ファンドは、企業の成長を期待して株式を保有し、その価値の増減を見守る投資スタイルが一般的だったが、アクティビストファンド(以下:アクティビスト)は株式を保有するだけでなく、経営陣と対話(エンゲージメント)を行い、経営改善案や戦略的提案を行うのが一般的だ。日本は今、第3次アクティビストブームに沸いている。あるコンサルティング会社によると、日本企業を対象に株式を取得して株主提案をするアクティビスト活動をしている国内外のファンド数は2024年に73社と、ここ5年間で8割増えた。日本株への投資額は9兆7000億円に達し5年間で2倍になっている。アクティビストへの資金の出し手は、欧米の年金・大学基金など様々で、リターンの高さから運用資産額が急拡大している。最近の例で言えば、元タレントの中居正広氏のトラブル案件では、米ダルトン・インベストメンツが、フジテレビジョンの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスに事実関係を解明する第三者委員会の設置を求めた。その結果、先頃詳細かつエゲツナイ内容の報告書が提出され、世間を驚かせている。
まあこうした動きは歓迎される部類だが、逆に企業を震え上がらせるのが「ウルフパック(オオカミの群れ)戦術」の横行だ。複数の投資家がひそかに協調して株式を買い集め、株主還元などの要求を企業に飲ませる手法として知られる。企業側がウルフパックの察知に遅れると経営権を奪取される恐れすらある。5%ルールの緩い運用を背景に、違反もいとわずに協調して株式を取得する反市場的な行為だ。アクティビストによる株主提案の議案数は24年に202件あり、その内訳は資本効率の改善などバランスシート関連が4割、持ち合い株の解消などガバナンス関連が3割を占めた。
さて日本をアクティビスト天国にした元凶である緩い「5%ルール」とは何か。金融商品取引法は、市場の公平性や透明性を高めるため上場企業株式の5%以上を取得した投資家に対し、5営業日以内に大量保有報告書を届け出ることを義務付けている。しかし実際には当局の取り締まりは緩く、大量保有報告書の提出をわざと遅らせたり、企業に重要提案行為をする目的を純投資と偽って提出したりする動きが顕著だ。投資家間の協調関係が分かりづらくなるほか、株式を安値で買い集めることも可能となる。米国では報告書の提出が数日遅れただけでも制裁や提訴されるが、日本は年単位で遅れてもほとんど摘発されない。では、どのような企業がアクティビストに狙われるのか。標的になる企業には次のような傾向がある。
①キャッシュリッチ度(総資産に占める現預金・短期投資の比率)、②資産効率(総資産利益率=RОA)、③機関投資家の株式保有比率、④株価の割安感(株価純資産倍率=PBR)、⑤株価変動の傾向(相場全体の動向に株価が連動する度合いを示すベータ値)だ。このうち①と③は数値が高いほど、②④⑤は数値が低いほど狙われやすくなる。
以上の5項目に思い当たるフシのある企業は、いつアクティビストがドアを叩いてもおかしくない。
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