政治•経済 再審法改正へ 刑事訴訟法の制定から初見直しも 「改悪」に懸念
再審法改正へ 刑事訴訟法の制定から初見直しも 「改悪」に懸念
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2026/01/26

 刑事訴訟法が制定されてから80年近くを経て、再審に関する規定(再審法)が初めて改正される見通しが高まっている。超党派の国会議員連盟による議員立法がすでに国会に提出されているのに加え、今国会では、刑訴法を所管する法務省が改正法案を提出する方針を固めているためだ。ただ、法相の諮問機関である法制審議会での議論を踏まえた法務省の改正案は、議員立法案とはかなり方向性が異なっており、国会でどこまで改正議論が進むかは不透明だ。

 

再審法改正に向け、最大の論点となっているのが証拠開示のルールについてだ。議員立法では、「裁判所が幅広く開示を検察に命じる」と明記しているのに対し、法制審議会では、証拠開示の範囲を「再審請求理由と関連する証拠」に限定する案が有力となっている。法制審での有力案が通ってしまっては、「再審請求と関連しない証拠は全てダメ」といった厳格な運用を招きかねず、現状より開示範囲が狭まる懸念が指摘されているのだ。

もう一つの重大な論点となっている検察官抗告についても、法制審の議論は反対には消極的だ。検察官抗告は、再審を開始するかどうかを決める請求審の長期化の要因になってきたとして、強い批判を受けてきたが、法制審では、「禁止すべきでない」との意見の方が強まっている。

確かに、死刑の執行逃れのために、まともな理由もないのに無理やり理由をでっちあげ、再審請求を繰り返すケースが少なくないのも事実だ。ただ、再審法の本来の目的は、本当に無実の冤罪被害者を救済するためのものであり、今回の改正議論がこの救済に重点を置かれるべきである点は言うまでもないはずだろう。法制審の現在の議論については、元裁判官や刑事法性の専門家ら約200人が声明・意見書を出し、「改正の原点が見失われている」「このままでは冤罪被害者にパンの代わりに石を与えるような改悪になりかねない」などと危機感を示している。

近年は、袴田巌さんが無罪になった事件など、再審無罪や冤罪の事件が相次いでおり、捜査機関への信頼は低下している。法務・検察は真に反省し、同じ過ちを繰り返さないことが大事で、中途半端な改正は許されない。もちろん、冤罪被害者を救うためには、再審法の改正は急務だが、ただ急いで改正が実現したとしても、改悪になってしまっては本末転倒だ。国会では改正案ありきではなく、議員立法と法務省の改正案との乖離について慎重に議論し、意味のある改正につなげていくことが重要だろう。(桜田亮)

 

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