政治•経済 トランプ氏が狙うベネズエラの石油の正体
トランプ氏が狙うベネズエラの石油の正体
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2026/01/21

 米国トランプ大統領がベネズエラの石油インフラ再建のために15兆円以上を投じる構想を明らかにした。この構想の原資は米国政府の出資ではない。民間の米国石油大手企業の投資を要請している。今のところ現地で既に操業しているシェプロン社を除いてほとんどの大手企業は投資額が巨額なために慎重な姿勢を見せている。これまでトランプ氏は数千億円程度の投資で老朽化した施設の再建を行う意向を示していたがその額を大幅に増額した。その背景にはベネズエラの原油の利権を丸ごと米国が保有することで石油大手にも莫大な利益をもらすであろうという目論見がある。米国はベネズエラから最大5000万バレルの原油を得るのみならずベネズエラの原油販売を無期限で管理する方針である。

 米国はベネズエラから巨万の富を得られるのだろうか。実はそう簡単なことではないようだ。ベネズエラの石油採掘は施設の老朽化の問題だけではない。最も大きな問題は採掘された原油が粘稠性であることだ。サワー原油と呼ばれる重質もので粘度が高い。軽質原油よりも炭素濃度が格段に高い。ベネズエラの重質な原油は液体として油井から取り出すことができず貯留槽に蒸気を送り込む必要がある。硫黄残留量も多くガソリンなどへの精製はコスト的に合わない。掘削と精製に通常の2倍以上の炭素を排出してしまうことから環境への負荷も高い。これらのことを技術的に解決できないとトランプ大統領が目論んだ石油利権の独り占めは無用の長物となる。

 そもそもトランプ大統領がベネズエラを攻撃したのは米国への麻薬流入の要因になっているからだったのではないのか。自国民の安全や健康の保全や保護のためという大義名分をかざしつつ、実際に奪いたかったのは原油だったのならそうは問屋が卸さない。原油の掘削技術と精製技術に革新が生まれない限り目的には達しない。ましては民間企業による巨額投資に頼る事業であるのなら失敗すると尚更罪深い。トランプ政権の足元を揺るがしかねないギャンブルにしか映らない。(坂本雅彦)

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