2025/12/21
青森県下北郡東通村猿ヶ森といういわば辺境の地で起きている防衛最前線のレポートは前回でひとまず区切りをつけた。ところが、それで〝はい、ご苦労さん〟というわけにはいかなくなった。というのもさらに深刻というか憂慮すべき事態が猿ヶ森で起きているのだ。
猿ヶ森一帯の土地を防衛省が買い進めている、それはつまりここ猿ヶ森を我が国の防衛上の重要拠点、すなわち根拠地にするということである。これは想像でも勝手きわまる推察などではない。元来猿ヶ森は立入禁止の防衛省独占地帯なのである。その地域を防衛省は拡大している。高市政権による防衛費の増大で猿ヶ森の重要根拠地というポジションが濃厚な現実味を帯びてきた。このプランについては米国トランプ政権との折衝の結果という面もあろう。また、ひたすら緊張感を増大しつつある対中国関係を睨みながらという面もあろう。現実問題、猿ヶ森は防衛省による買い占めが進行しているのである。この状況はあくまで我が国側の事情である。
ところが、である。その同じ猿ヶ森の土地をまったく別の勢力が防衛省と同じように買い占めにかかっているという事態になっているということがわかった。まるで防衛省の後を追うように、いや、防衛省を凌駕しようとするような勢いである勢力が買い占めにかかってきているのである。
それは中国人であり、中国のしかるべき組織を名乗っているのだ。
「わしのところにも来たべさ。最初防衛省の人達がやってきて、そんなに時間を空けずに今度は中国人が通訳連れてやってきただ。そうさ、わしの代々持っている土地を買うって言うんだべさ。そっくりそのまま同じところ(土地)だ。先祖代々100年以上この土地もっているのに一度だって買いたいっていう人はいなかったんだ。ところが今年に入ってしばらくしたら突然、(土地を)買いたい、ぜひとも譲ってくれ言ってきただ。わしだって正直カネは欲しいんじゃ、欲しいがそうそう簡単に先祖代々守って来たこの土地を防衛省だ、ましてや中国人だ、に売ってしまっていいもんかわからん、売ってしまってカネが入った途端、祟りなんてことになっても身もふたもないだよ。だからどうしようか考え込んでいるだ」。
ここ猿ヶ森の大地主の一人、刑部伍市(88 仮名)は顔をゆがめて言う。ただでさえし紙に刻まれたようなしわが顔中張り巡らされているところにこのような降ってわいたような悩みがやって来た。しわの数も倍加しそうなのである。それよりなにより驚くべきは刑部が言うには中国勢力は刑部と同じような大地主のもとにも訪れている、ということだ。なかには「売ってしまったもんだっているだべ。言わんだけでな、その気持ちだってわからんでもないだ」(刑部)、というのだ。
それにしても防衛省が秘密裏に進めている土地買収を、こともあろうに中国側が同じように進めていこうとしているのは面妖な話である。それも防衛上の重要基点になるはずの土地なのである。ただ刑部の言うように、誰も刑部にその土地は絶対に売るな!とはいえまい。
猿ヶ森で今起きている事態は実に恐ろしい想定を孕む。絶えず目を離さずレポートしていく。(敬称略)フリーランスライター 廣田玉紀
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