社会•事件 「トクリュウ」撲滅のターゲットは犯罪の総合商社「住吉会系幸平一家」
「トクリュウ」撲滅のターゲットは犯罪の総合商社「住吉会系幸平一家」
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2026/04/09

 指定暴力団の2次団体が、警察当局から「集中取締」を受けるのは山口組系弘道会に次いで2例目である。取り締まりの対象は、住吉会系「幸平一家」だ。警視庁によると、これまでに検挙した匿流メンバーを捜査すると幸平一家の組員が関与している例が目立ったという。

具体的には特殊詐欺やSNS型投資、ロマンス詐欺のほか強盗・窃盗、薬物密売、性風俗店へのスカウト、悪質リフォームなどがあり、幸平一家を称して「犯罪の総合商社」とも。

警視庁は4月からこの取り締まりの特別対策本部の本部長を刑事部長から同庁ナンバー2の副総監に格上げした。それほど今回は本気度が高い。

幸平一家とはどのような組織なのか。

「幕末から続く名門博徒組織であり、戦後になって住吉会へ合流した歴史を持ちます。警察発表によれば、住吉会の全構成員約3200人に対し、幸平一家は約800人と全体の4分の1程度ですが、日本一の歓楽街、歌舞伎町を根城としているので目立ちます。薬物密売では、歌手のASKAの事件でも取り沙汰され、“新宿薬局”の異名を取った傘下組織の大昇會が知られるほか、何といっても幸平一家矢野睦会組員が一般人を巻き添えにした『前橋スナック銃乱射事件(2003年)』があまりにも有名です」(業界ジャーナリスト)

加藤英幸十三代目幸平一家総長は、反山口組の急先鋒だったが、一方で山口組系山健組の井上邦雄組長(現:神戸山口組組長)と親しかった。福島県立福島高校―国士舘大学卒のインテリ・ヤクザとしても知られる。

「山健組にあらずんば山口組にあらず」と言われたように「幸平一家にあらずんば住吉会にあらず」とまで言われる。

何しろ不良のヤクザ離れで、住吉会傘下組織で組員が減少する中、幸平一家だけは構成員を増やしている。しかも、特殊詐欺の実動部隊である「トクリュウ」のように盃こそ与えていないものの実質的な支配下に置く周辺者が極めて多いから実態が分かりづらい。

弘道会も「警察に情報を売らない、付き合わない、事務所に入れない」という「3ない主義」で組織の可視化が難しかったが、幸平一家も「容易に可視化できない組織力」こそが、当局にとって最大の脅威となっている。果たしてトクリュウから市民を守ることができるのか。(梛野順三)

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