政治•経済 レーダー照射ぐらいでガタガタ騒ぐな!②
レーダー照射ぐらいでガタガタ騒ぐな!②
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2026/01/01

 前回、日本政府とメディアが大騒ぎした火器管制レーダーの照射が、国際法を厳密に解釈すれば違法とは言えないことを指摘した。もちろんレーダーの照射を受けたからといって反撃などしたら、先制攻撃になる。

 

 海上衝突回避規範(CUES)は、拘束力の無い紳士協定のような規範だから、高市総理の台湾有事発言で緊張状態にある現在の日中間では守られなくても、なんら不思議ではないのだ。

 

 一部メディアの「日本は正しく、中国は間違っている」という政権に忖度した報道は、安全保障の観点から極めて有害で危険と言わざるを得ない。

 

日本の報道では指摘されないが、日本も中国海軍に対して過去に似たような威嚇行為を行っている。安倍政権の2018年に、日本の接続水域(領海の外側12海里)を通過した中国の原子力潜水艦にアクティブソナー(航空機における火器管制レーダーに相当)を照射して2日間追い回した。当時の小野寺防衛大臣は、通告無く中国の原潜が接続水域に侵入したからと、アクティブソナーを照射した行為を正当化したが、接続水域を潜行した潜水艦が航行するのも、領海侵犯ではないので、国際法違反とまでは言えない。誤解を招き不測の事態が起きるかも知れないので、お互いにそういうことはヤメヨウネといった程度の話だ。

 

このとき中国側は反論してこなかった。日本側の言い分を認めたのではなく、中国の原子力潜水艦が海上自衛隊に探知されていることを世界に知られるのは得策ではないと考えたからだろう。

 

航空機は高速だからレーダー照射を受けて危険を感じたら、すぐに引き返すことが出来るが、スピードの遅い潜水艦はそうはいかない。恐らく中国の潜水艦乗務員は相当のストレスを感じたことだろう。

 

 問題は、こうした中国への威嚇行為が日本の判断だけで行われたのではないと思われることである。アメリカから、「ちょっと脅かしてやれ」とけしかけられていたと思われる。なぜなら、通常は気づいていても見過ごすものである。相手が探知されていることを知れば、次は探知されないように技術上の改善を行ってくるだろう。中国の軍事技術を向上させるだけのことになる。

 

 そこで高市総理だが、彼女は日米安保条約があり、アメリカがついているから、中国を怒らせても大丈夫だと信じ込んでいると思われる。もしそうなら、近年のアメリカの戦略思考の傾向及び、トランプ大統領の意図を読み間違えていると言わざるを得ない。

 

あるいは自国や自衛隊の能力について、自信過剰になっているのか。それならさらに危険このうえない。この国は失われた30年と呼ばれ、90年代後半から殆ど経済成長せず、国民一人当たりの所得も増えていない。その間、他国は成長してきた。かつては名目GNPがアメリカの半分、中国の数倍あったのが、いまは中国の4分の1、アメリカの7分の1になっている。

 

この現実から抜けだし、経済を成長軌道に乗せることが安全保障上の最大の課題でなければならないはずなのだ。

 

(青山みつお)     

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