2025/10/23
半導体開発の先がけインテルが金策に走っている。インテルは1968年にカリフォルニアで産声を上げ、マイクロプロセッサーを量産、多くのパソコンには「INSIDE INTEL(インテル入ってる)」の標語があった。
インテルは業界の覇者として世界市場に君臨したが、それが新興勢力、とりわけエヌビディアの猛追を受け落ちぶれ、6期連続の赤字、ついに8月に米国政府の出資を仰ぎ、ソフトバンクの孫正義総帥が20億ドルを投資、そして9月にはエヌビディアも50億ドルの調達に応じた。合計100億ドル超。このなりふり構わない資金調達は、その苦境を如実に表している。
格下企業だったエヌビディアはAI専用半導体で主導権を確立し、おりからの生成AIとチャットGPTブームに乗って株価急騰、史上初の4兆ドル時価総額企業となった。
エヌビディアのGPUは独走態勢にあり、設計ではアームと競合関係にある。孫正義は、傘下のアームをエヌビディアに売却しようとしたが、中国の反対で頓挫した。
米国はエヌビディア製の先端半導体の中国への輸出を禁止してきた。ところがトランプ政権は旧世代半導体に限り対中供与を認めた。レアアースとのディールと言われた。
すると中国は、「自前の技術が育った」と言い出し、エヌビディア製品を禁止すると主張した(9月17日、フィナンシャルタイムズ電)。
米中、エヌビディアの関係は複雑だ。エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアンは、台湾系アメリカ人だ。世界一の半導体企業TSMCも事実上の台湾企業である。
さてインテルの苦境を端的に表しているのが、「フリーキャッシュフロー(FCF)」だ。本業による現金流入と投資による現金流出を合計したFCFはこの2年の間に100億ドル規模のマイナスが続いている。
投資キャッシュフローの多くを占める設備投資が重荷になり、日本円にして毎年1.5兆円超が流出する勘定になり、単純に1時間あたりで換算すると、1.7億円超という猛烈な勢いで現金が消えている。
半導体業界に主客転倒が起きているわけだが、そもそも半導体技術は日本から台湾、韓国へ移行し、現在は台湾・韓国から中国へ移行しつつある。インテルの苦境は米中の覇者交代のトリガーになるのか。
(梛野順三)
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