維新吉村代表の副首都構想に他の政令市長から異論が相次ぐ

 日本維新の会(以後、維新)が連立与党入りして自党の主張を強めている。連立与党にいる機会を好機と捉える維新は大阪への偏重があからさまな政策を進めようとしている。かつて2度も住民投票で否決された大阪都構想を服首都構想に置き換えるような主張を吉村知事が明らかにしている。  かつての大阪都構想は政令市を廃止し、特別区を設置する方策で計画していた。吉村知事はその構想を服首都構想に置き換えようとしている。人口要件を政令市単独または隣接市町村を含めて200万人以上とする大阪都構想を副首都の要件として当てはめると大阪市、横浜市、名古屋市の3都市に自ずと絞られる。弾かれた他の政令都市の市長からは異論が相次いでいる。  京都市の松井市長は、長い間、皇族が住まわれ、今も御所が存在する街であり、文化財の集積度、生活文化の豊かさという意味で京都が文化的に大きな役割を担っていくべきではないかという考えを明らかにし、その一端を担わなければならない自負はあると述べている。  福岡市の高島市長は南海トラフによる巨大地震での被災リスクを避ける意味でも福岡市が最適だと提唱。大阪による大阪のためだけのような議論は残念だと述べ、広くいろんな場所も想定しながら、どういうバックアップ機能の配置が国家として一番いいのかを考えるべきだとの考えを示した。  名古屋市の広沢市長は副首都構想に特別区を持ち出すことに疑問を投げかけている。神戸市の久元市長も副首都構想というものと大都市制度が密接不可分かどうかは疑問だと述べている。  何も副首都を一か所に限定する必要はない。与党自民党の小林鷹之政調会長は「特定の一つの都市に限っていくよりも、できるだけ複数の地方が関心を持って手を挙げられるような枠組みにしていく必要がある」との考えを明かしている。南海トラフ巨大地震のリスクを避けるという意味では長野市あたりが妥当ではないか。新幹線も敷設されているし首都圏からも案外近い。  首都機能をバックアップするというがそもそもどのような機能をバックアップするのか。その中身の議論検討を先行し、それにふさわしい都市を選択するのが正当である。鼻息荒く功名を奪いに行くような維新の吉村代表の発言には国政政党日本維新の会が与党という立場からの利益誘導や権力の濫用のような猜疑を抱く。こと維新内でも党の大阪偏重に嫌気がさした議員らの離党が相次いでいる。吉村代表は与党に参画したからこそ尚更に公益で公平公正なスタンスを重視するべきなのではないか。 (坂本雅彦)
政治•経済

2026/01/07

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兵站・城攻めで秀吉の中国「西進」に貢献した小一郎
兵站・城攻めで秀吉の中国「西進」に貢献した小一郎

毛利氏攻略のため西を目指した秀吉はその途上、播磨国(現兵庫県南西部)で黒田官兵衛が明け渡した姫路城を根城に、別所長治の三木城を兵糧攻めで落とし、そのさなかに背後で裏切った荒木村重も信長とともに倒した。   さらに美作・備前両国(現岡山県)を持つ宇喜多秀家を毛利方から寝返らせ、鳥取城もまた兵糧攻めで降伏に追い込み…と、軍師役の竹中半兵衛、黒田官兵衛による戦と調略の硬軟両建ての戦術によって、徐々に毛利方の拠点・安芸国(広島県)に迫っていった   小一郎は一連の攻略戦で兵站(食料・弾薬など物資の調達・運搬)を引き受け、さらに自ら3000の軍を率いて但馬国(兵庫県北部・西部)を攻め落とし、竹村城を自らの拠点とした。因幡国(現鳥取県)の鳥取城を飢えに追い込んだ包囲作戦でも、事前に近隣で食糧を買い占めたのは小一郎の発案とされている。   秀吉軍が備前高松城を水攻めにしているさ中、本能寺の変が勃発する。秀吉はすぐさま和議を持ち掛け、信長の死を気取られぬうちに城主・清水宗治を切腹させ、すぐさま大軍を取って返す有名な「中国大返し」をやってのける。そこでも小一郎は殿の大役を任された。(つづく)(西川修一)

連載•小説

2026.01.15

連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.78『年賀状じまい』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.78『年賀状じまい』

 今年ついに、俺の家には年賀状が一枚も届かなかった。あの、絶対にポストに入っていた『嵐』からの一枚さえもなかった。 年賀状じまいをする人が多くなったようで、俺自身も数年前にしている。実は元々、年賀状が好きではなかった。理由はいくつかあるのだが、第一に、12月25日までに投函しなくては元旦に届かない!これがプレッシャーである。その時期、執筆の用事がある場合、頭の中の半分は年賀状に気を取られ、結果、執筆も年賀状も納得できないものに仕上がってしまう。 第二に、元旦に初めて来た人の年賀状に返事を書かなくてはいけない!元旦くらいゆっくりさせてくれ!餅がのどに詰まりそうなほど追い詰められる。 第三に、三が日を過ぎたあとの変なタイミングで来る年賀状!すっかり油断してたぞ。 そんなことで俺は年賀状じまいをした。ただ唯一、お年玉つき葉書の当選番号を見るのだけは楽しかった為、おじいちゃんになったら再開するかもしれない。

連載•小説

2026.01.14

映画「国宝」のロケ地、グランドサロン十三に行ってみた
映画「国宝」のロケ地、グランドサロン十三に行ってみた

 昨年大ヒットした映画「国宝」の象徴的なロケ地として一躍有名になった大阪にあるキャバレーのグランドサロン十三に行ってみたのだが、いろんな意味でとても衝撃的だった。 映画『国宝』では高畑充希さん演じる春江が働くキャバレーとして登場し、興行の成功を祝う宴会シーンなどが撮影された。映画「国宝」ではフィルム・カウンシルを通じてグランドサロン十三が紹介されたことによってロケ地に選定されたが、映画の世界観を見事に支えている。映画だけでなく実際にも国宝が出演したこともある。2024年7月に人間国宝に認定された浪曲師の京山幸枝若氏の独演会がグランドサロン十三で開催されている。 さて、拙者がグランドサロン十三を訪れたのは1月7日の夜である。入口にはセット料金60分7000円の大看板が置かれている。両開きのガラスドアの脇には数名のホステスが腰かけて出番を待っている。その先には小窓の開いた受付カウンターがあり前金で7000円を支払う。凄く明朗会計、飲み放題で女性の飲み物も含めて7000円だった。 入口で拙者が初めての来店だと告げると蝶ネクタイを締めた初老のスタッフがこう告げた。「当店は建物もさながら、システム、女性ともに全て昭和のままでございます。ですので、女性は40代、いや50代、あと60代、中には70…、という感じでございまして、、、」拙者が「わかりました」というと「大丈夫でしょうか?」と問われる。大丈夫というのも何かおかしな気がしたので云々と頷いておいた。 店内の模様には驚かされる。すり鉢状の円形に多くのボックス席が配置されており、正面は巨大なステージ、その上には巨大でレトロなシャンデリアが。店内にはひとつもLEDを感じさせる灯りはなくレトロでノスタルジックな雰囲気が漂っている。客入りは広い店内の三分の一ほど。客層は高齢者が中心だが、高齢者に連れられた若い人も少々いた。 私に席に着いたのはM嬢、60代前半だと察する。 「あなた、初めて?驚いたでしょ、この雰囲気、入口であなたが入るの見てたんよ、逃げ出すかと思ったんやけど」 「は、はい、勇気を出してがんばりました」 「はよ飲み、酔っぱらったらババアも若い子も一緒よ」 「・・・あはは」 いくら酔ってもババアと若い子が一緒になることはない。 「入口で40代以上しかいないけど大丈夫かと聞かれました」 「そやねん、それ聞くの大事、ちゃんとインフォームドコンセントしとかなババアしか出て来んやないかってボーイと殴り合いの喧嘩になったらかなんしな」 「な、殴り合いですかぁ」 「そや、殴り合いになったら負けへんけどな」 というわけで恐らく国宝級の猛者ホステスがお揃いだと察する。この雰囲気、大阪っぽくてなかなかイケる。帰り際、入口の初老のボーイに、 「お気に召されましたか?」 「・・・楽しめました(;^_^A) というわけでグランドサロン十三で高度成長期の日本の活気ある時期に思いを馳せる夜となりました。   グランドサロン十三HP https://juso13.net/  

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2026.01.14

連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.77『デジタルデトックス』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.77『デジタルデトックス』

 ネットなしの生活が考えられない現代、人間の一日の情報量は江戸時代の一年分、平安時代に至っては一生分に匹敵するという。実際、人間の脳など大した進化もしてない訳で、これでは頭の中が散らかって正常な判断ができなくなるのは当然だ。とりわけ、虚実入り混じったSNSからの情報は、頭に情報のゴミが溜まっている為かすぐ鵜呑みにしてしまう。 一体、どうすれば無駄な情報を遮断できるのだろうか?俺の場合、この連載はネットに掲載されているのだが、書く時はWi-Fiを切っている。執筆中に固有名詞の確認を検索するだけのはずが、気付いたら癒しの猫動画などを観ているからだ。ああ、どの時点で猫動画に移行したのだ。ニャンとも不思議なことが毎回起こる。 このまま生活すると、俺の頭の中は平安時代の全人口が住むくらいになってしまう。 「ようし!デジタルデトックスをするぞ」 俺は早速そのやり方をネットで検索してみた。おいおい、もう失敗してるじゃないか。

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2026.01.12

中南米の麻薬カルテルと反共ゲリラ・コントラ
中南米の麻薬カルテルと反共ゲリラ・コントラ

 世界最大の石油埋蔵量を持つベネズエラのマドゥロ大統領を拉致したトランプ政権は、麻薬対策を口実に主権国家の元首の誘拐を正当化したが、中南米諸国が麻薬で汚染され、麻薬カルテルが蔓延ってしまったのには、かつてのアメリカ政府の政策も深く関与している。   近代史で、麻薬が国家間の問題として登場するのは、アヘン戦争(1840年~1842年)が最初であったことは、歴史授業で習ったと思う。19世紀にイギリスが、中国(清朝)から輸入する紅茶の代金としてインドで栽培されたアヘンを中国に売りつけた。その結果、中国ではアヘン中毒者が増え、アヘン輸入の代金として銀が英国に流出して清朝の財政を圧迫した。 清朝は、アヘン商人からの賄賂を受け取らない清廉な官僚だった林則徐を、アヘン密輸の最大拠点だった広東に派遣。林は、1400㌧のアヘンを没収して海中に投棄し、外国商人に「今後、一切アヘンを清国国内に持ち込みません」という旨の誓約書の提出を要求した。   この処置に不満なイギリスが清朝に戦争を仕掛けたのがアヘン戦争である。 清朝時代のアヘン窟    アヘン戦争における清国の敗戦は、長崎のオランダや清の商船を通じて幕末の日本に伝えられた。当時の日本では、「アヘンを売りつける為に戦争を仕掛ける洋夷が、いまにこの国にもやってくる」と、吉田松陰や佐久間象山などの幕末の知識人の危機意識を呼び覚まし、11年後に黒船来航で現実になることで、明治維新への国政改革のエネルギーとなっている。    中国は新中国成立まで100年に渡ってアヘン禍に悩まされてきた。アヘンは中国にとって、亡国の麻薬であった、と言えよう。    ところが、ベトナム戦争では、中国政府も麻薬を利用した。厭戦気分の米軍兵士にベトナム人の売春婦などを通じてマリファナ(大麻)やヘロインを流したのだ。アメリカ軍も、兵士の殺人への抵抗をなくすために大量の覚醒剤を配布し、ベトナム戦争は、アメリカに麻薬が蔓延するきっかとなった。    アメリカ政府も麻薬を利用した。1979年にニカラグアで親米のソモサ一族が追放され、サンディニスタ革命政権が誕生すると、レーガン政権は、反共ゲリラ・コントラを養成。当初、コントラの養成費は、経済制裁中のイランに武器を密売した代金で賄ったが、『イラン・コントラ事件』が議会で追及されると、中南米諸国の麻薬を売った代金が充てられた。このときアメリカ政府に協力したのが、文鮮明の統一教会だった。現在もこの教団は南米で麻薬栽培を行っているとされ、統一教会と関係があるパラグアイの元国会議員が、2019年に麻薬密輸やマネーローンダリング容疑でFBIに逮捕されている。    ちなみにレーガン大統領が『自由の戦士』と呼んだコントラの反共ゲリラは、残虐行為でも知られる。彼らは、革命政権の官僚や軍人、共産主義者やその支持者を殺害するだけでなく、一般住民もテロの対象にし、それも出来るだけ残酷に殺すように指示されていたと言われる。    住民を怯えさせ、左翼政権になると、生活や治安が悪くなることを、地方の住民にも認識させる為にCIAが考案した作戦で、文字通りのテロリズム(恐怖支配)だった。病院で働く看護婦や慈善活動をする尼僧もテロの標的にされた。    こんなやり方で人心が把握できるのか疑問だが、一時的に成功し、1990年に「サンディニスタ民族解放戦線」は選挙に敗れ、失権している。    その後、殺人や残虐行為を学習したコントラの反共ゲリラは、その役割を終えても普通の生活には戻れず、麻薬カルテルに流れた者が少なくないという。中南米の麻薬カルテルは、残虐行為を厭わないことで知られる。                                                                                                                                                          トランプは、ベネズエラの石油収益をアメリカ国民とベネズエラ国民の為に使うと公言したが、それが出来ればベネズエラ情勢も安定するかも知れない。 中南米における反米感情は、親米政権ではアメリカ企業に利益が吸い上げられ、現地人は政府関係者や外国企業で働く者しか豊かになれないからだった。    だが、それが出来るのなら、アメリカでまず実施すべきなのだ。世界の富を集めても、富裕層しか豊かさを実感できないことが、アメリカ人の不満であり、トランプを大統領に押し上げた原動力になっているのである。   (青山みつお)     CIA資金でコントラへの支援中にニカラグア軍に捕らわれた米元海兵隊員

政治•経済

2026.01.12

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