政治•経済 日中関係悪化における米国の本音
日中関係悪化における米国の本音
政治•経済

2025/12/31

2025年12月19日、米国のマルコ・ルビオ国務長官は記者会見で、激化する日中関係について「日米同盟を維持しながら、中国とも協力できる」と述べ、中立に近いバランス重視の姿勢を示した。かつて対中強硬派の急先鋒と呼ばれたルビオ氏が、なぜ日本への露骨な加勢を避け、日中関係の深部へ入り込もうとしないのか。その背景には、トランプ政権が進める冷徹な「新現実主義」がある。 

最大の理由は、トランプ大統領が中国の習近平国家主席との間で進めている大規模な貿易交渉にある。米国は現在、農産物の輸出拡大や関税引き下げを巡る「歴史的合意」を最優先しており、日本が引き金となった台湾有事への言及(高市発言)を巡る騒動は、米国にとって「余計な火種」に映っている。ルビオ氏が日中対立を「以前からある力学」と切り捨て、特定の側を非難しなかったのは、中国を過度に刺激して米中間のディールが頓挫することを防ぐためである。

また、トランプ政権が掲げる「役割分担」へのシフトも影響している。2025年の米外交方針は、同盟国に対して「自らの防衛は自らで担うこと」を強く求めており、日中間の緊張もまずは当事者間で管理すべきだという突き放しが見て取れる。米国が深く入り込めば、自国が自動的に紛争に巻き込まれるリスクが高まるため、あえて一歩引いた「バランサー」の地位に留まっているのだ。

さらに、日本の「戦略的曖昧さ」の喪失に対する不満も透けて見える。米国は長年、台湾問題について介入の是非を明かさないことで抑止力を維持してきた。しかし、高市政権が踏み込んだ発言をしたことで、この曖昧さが揺らぎ、地域情勢が不安定化したとワシントンは分析している。ルビオ氏の静観は、事前の調整なしに現状を変更しようとした日本に対する「無言の警告」とも解釈できる。

結局のところ、米国にとっての日米同盟は「中国を封じ込める手段」から、今や「米国の利益を最大化するためのカード」へと変質した。日中の泥沼に足を取られることは、現在のアメリカ・ファーストの外交指針にはそぐわないのである。

(ジョワキン)

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