1月24日に中国国防部は、軍事委員会副主席の張又侠と劉振立がともに「重大な規律違反および法令違反の疑い」で調査を受けていると発表。7人の共産党中央軍事委員会の幹部のうち5人が失脚し、後任も任命されない異常な事態となっている。 中央軍事委員会委員7人のうち5人が粛正された 200万人超の世界最大規模の軍隊である人民解放軍を統率する中国共産党(中華人民共和国)中央軍事委員会の委員うち、23年10月に李尚福(陸軍上将・国防部部長)、苗華(海軍上将、中央軍事委員会政治工作部主任)が昨年6月に正式に解任されており、10月には副主席の何衛東(上将)も失脚。そして今回、張又侠(上将・副主席)と劉振立(上将・参謀部参謀長)が、「重大な規律違反」の疑いで調査を受けていると発表された。 張又侠(左)と参謀長の劉振立(右) これで中国共産党中央軍事委員会の中で残ったのは、トップの習近平と昨年10月に副主席に昇格した張昇民だけとなっている。 ところが、ただ一人の副主席となった張昇民についての情報は極めて少ない。張は、昨年10月に中国共産党中央軍事委員会副主席、中華人民共和国中央軍事委員会委員、中央紀律検査委員会副書記、中央軍事委員会紀律検査委員会書記兼中央軍事委員会監察委員会主任・党委員会書記に就任し、ロケット(火箭)軍の上将(将官の最高位)を授与されている。 この経歴から張が中国軍の汚職の取り締まりに従事した幹部だということがわかる。張は長年にわたり第二砲兵隊(現ロケット軍)および兵站支援部門に勤務し、軍規律検査委員会の幹部委員を務め、反汚職運動において軍内部の監督を担った。習近平の深い信頼と、トップに忠実な将軍とみなされており、軍の反腐敗活動と人事統制の中心的な役割を果たしているとされる。 張の経歴は、1958年8月生まれの67歳、陝西省武公市出身、1978年2月に軍に入隊、陸軍第47軍第141師団砲兵団指揮連の戦士から軍歴を開始とある。 両親については経歴にないので、習近平のような中国共産党高級幹部の子弟(太子党)ではないし、高級幹部の子弟と並ぶエリート養成機関「中国共産主義青年団」(胡耀邦、胡錦涛、李克強等は共青団出身)の経歴もないようだ。 中国軍を握る中央軍事委員会に残った張は、習近平と共に中国軍を動かせる人物となった。 ところが、張の性格や志向についての情報は少なく、メディアに登場する中国専門家も、その人物について言及していないばかりか、「張又侠や劉振立の粛清は、彼らが台湾侵攻に消極的だったからだ」といった偏向情報を流布している。張昇民には、習近平の忠実な軍官僚としての能力しかないのか、軍幹部の粛清を主導してきた野心家なのかさえ不明だ。健康状態が良くないとされる習近平が倒れた場合、毛沢東の言葉「政権は銃口から生まれる」(枪杆子里面出政权)と言われる人民解放軍を張が把握するのか、毛沢東の死去後の4人組や華国鋒のようにあっけなく追放されるのか、これからの中国軍の動きを予測する上で極めて重要な情報だ。 射程1万キロ以上の中国軍の多弾頭核ミサイル