政治•経済 社会•事件 国際秩序を守る大国から打破する大国へと変わる米国
国際秩序を守る大国から打破する大国へと変わる米国
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2026/02/07

第二次世界大戦後の国際秩序を構築し、その守護者として君臨してきた米国が、今や自らその秩序を揺るがし、解体へと導く打破者へと変貌を遂げつつある。この歴史的な転換は、2020年代半ばに入り、単なる一過性の政策変更ではなく、米国の国家戦略における構造的な変容として顕在化している。かつて「自由で開かれた国際秩序」を標榜し、多国間協調や法の支配を主導してきた米国は、今や自国の直接的な利益を最優先するトランザクショナル(対価的)なアプローチを隠そうとしない。

その象徴的な動きが、国際法や既存の同盟関係を軽視する一方的な行動の増加である。例えば、近隣諸国に対する軍事的な威圧や、国際合意を無視した経済制裁の発動は、かつての米国が批判してきた「力による支配」そのものである。米国は長年、ダブルスタンダードとの批判を受けつつも、表面上は国際的なルールの枠組みを維持することで覇権を正当化してきた。しかし、国内の分断と経済的格差の拡大を背景に誕生したトランプ大統領は、国際秩序の維持を自国への「コスト」と見なし、これを積極的に打破することで国内支持を固める手法を選択している。

2026年現在、米国がベネズエラに対して行った宣戦布告なき軍事介入や、グリーンランドの買収要求に代表される領土的野心の露呈は、19世紀的なモンロー主義への回帰を思わせる。これは、冷戦後に築かれた「主権尊重」という大前提を米国自らが破壊していることに他ならない。米国のこの変容は、同盟国である欧州や日本に対しても、安全保障を「商品」として売り込むような強硬な交渉態度となって現れており、西側諸国の結束を根底から揺るがしている。

国際秩序の「守護者」がいなくなった世界では、法の支配に代わり、純粋な国力の衝突が意思決定の基準となる。米国が「ルールの策定者」から「ルールの破壊者」へと転じたことで、国際社会は予測不能な無秩序状態、すなわち「グローバル・アナーキー」へと向かっている。米国が自らの覇権を自らで解体し始めたこの現状は、戦後80年続いてきた世界構造の終焉を意味しており、私たちは今、強権的な大国が割拠する新たな動乱の時代に立たされているのである。

(ジョワキン)

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