2026/02/12
ラグジュアリー業界全体を俯瞰すると不況の一言だが、そんな経済下のなか、エルメスとグッチのどちらが支持されているかを検証してみよう。
端的に言ってラグジュアリー業界はいま分岐点にある。ブランドの一方の雄エルメスは、2024年度決算で売上高2.7兆円(前年比13.4%増)、営業利益率は驚異の41%と別格の強さをみせた。
一方、グッチを主力とするケリングは売上高2.8兆円(前年比11.8%減)と減収に転じている。
両者の明暗を分けたのは供給戦略だ。エルメスはバーキンに象徴されるように、需要が高まっても供給をむやみに増やさない。
「すぐ手に入らない」という体験そのものが希少性と憧れを生み、中古市場でのプレミアム価格を通じてブランド価値を維持している。
対してケリングのグッチは、販売量の拡大で成長してきた。アレッサンドロ・ミケーレ体制の約7年間で売上高は約3倍に拡大。コロナ後の給付金や中国需要、世界的なインフレ環境下では、この施策は「正解」に見えたものの、その反動が今、数字に表れてきている。
エルメス優勢の背景にあるのが、超富裕層をターゲットにした「ハイパー・ラグジュアリー」戦略にあることも見逃せない。
従来の高級品の 10分の1以下の極少の生産量と生産効率を度外視した工業的アプローチによる芸術品としての付加価値などの要件を満たすエルメスの商品は、通常の高級品の10倍以上の価格でも売れるのだ。
また、エルメスは、フランス国内の従業員の半数が職人であり、商品の約6割が国内の自社工房で生産されている。
こうしたものづくりへの徹底したこだわりが、エルメスを不況に強いブランドに仕立て上げたといえる。(梛野順三)
TIMES
社会•事件



