第47回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん
連載•小説
2026/03/16
黄の器
三つ四つ残されている古伊万里は棚の上段ふれられることなく
強く照りかえしくるその黄色 誰をうつとてその色の強さ
口にした覚えはないがその黄色 使われることなく捨てられることなく
無力なり銃火にまみれるこの星の憎悪の溢れをじっと見ている
上掲歌は、僕が世話人をやっている「たづくり短歌会」の2月例会に、課題詠「器」で提出したもの。一首目が状況の導入歌みたいなもので、古伊万里の湯飲み茶碗が色も鮮やかな黄色だった。三首目まではなんとなくあやしげな、というか艶っぽさを匂わせてみたつもりだが、独りよがりで伝わらないな。説明したくない、野暮ったいので。直接会う機会に求釈明されたら答弁します。
ところで週(先々週から継続)の宿題を。
永遠の夢とは畢竟頽廃だ ここがロドスだ、ここで跳べ
「夢」という題で、NHKカルチャーセンター青山の福島泰樹の講座に出して、先生にダメ出しを喰らったもの。作った時から、自分でもやや気が差していた。下の句がヘーゲルが『法の哲学』で引用した、もとはイソップ童話と言われている挿話そのままだから。
もちろん先生にもそこを衝かれた。子曰く「理屈を書くな。それを別の言葉で表現し、違うイメージと結び付けなきゃ。それが短歌の遊びだし、短歌表現の秘密なのだ」
で先生は一つの例としながら、結句を「ここで遊べ」というふうに飛ばすのはどうか、と。考えてみる。
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