連載•小説 椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第13回 寺山修司 その3
椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第13回 寺山修司 その3
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2025/06/30

 占拠した教授の部屋のヒアシンス水はかえてた勝手な連帯 

 今回は学生運動関連としてこの歌を挙げたのではない。

花の歌として選んだ。研究室などをバリケード封鎖した1969年の夏。封鎖が解かれて教授が自分の部屋に戻ったとき、ヒアシンスだけは残しておきたいと思った。教授達にしたら大変な迷惑(という言葉さえそぐわないが)を被っているのだから、もちろんこちらの自己満足みたいなものだが・・・。

 実はこれは創作だ。研究室を占拠したのは事実だが、その部屋に水中花があったわけではない。

この歌の動機となったのは、下記の二首だ。まず寺山修司にこんな歌がある。

きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えんとする

 リズムは、きみが歌う クロッカスの歌も新しき と読んでください。若い、貧しい二人が暮らし始めるときの歌だと思う。家具とてもそんなにあるわけじゃない部屋。これからに希望を持つ二人の暮らしが始まる。

 そこにクロッカスを配す寺山の才能。

 もう一首は、我が歌の師、福島泰樹(短歌同人月光主宰)の歌だ。

その日からきみみあたらぬ仏文の二月の花といえヒヤシンス

福島師が早稲田の学生時代にガリ版刷りでみんなに回したものがきっかけになり『バリケード・一九六二年二月』という処女歌集が出た。早稲田闘争を歌う歌が多い中に、この歌もあった。

 冒頭の歌は、ここからヒアシンスをいただいた。拙劣は承知。ここに並べたかった。

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