連載•小説 映画「国宝」のロケ地、グランドサロン十三に行ってみた
映画「国宝」のロケ地、グランドサロン十三に行ってみた
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2026/01/14

 昨年大ヒットした映画「国宝」の象徴的なロケ地として一躍有名になった大阪にあるキャバレーのグランドサロン十三に行ってみたのだが、いろんな意味でとても衝撃的だった。

映画『国宝』では高畑充希さん演じる春江が働くキャバレーとして登場し、興行の成功を祝う宴会シーンなどが撮影された。映画「国宝」ではフィルム・カウンシルを通じてグランドサロン十三が紹介されたことによってロケ地に選定されたが、映画の世界観を見事に支えている。映画だけでなく実際にも国宝が出演したこともある。2024年7月に人間国宝に認定された浪曲師の京山幸枝若氏の独演会がグランドサロン十三で開催されている。

さて、拙者がグランドサロン十三を訪れたのは1月7日の夜である。入口にはセット料金60分7000円の大看板が置かれている。両開きのガラスドアの脇には数名のホステスが腰かけて出番を待っている。その先には小窓の開いた受付カウンターがあり前金で7000円を支払う。凄く明朗会計、飲み放題で女性の飲み物も含めて7000円だった。

入口で拙者が初めての来店だと告げると蝶ネクタイを締めた初老のスタッフがこう告げた。「当店は建物もさながら、システム、女性ともに全て昭和のままでございます。ですので、女性は40代、いや50代、あと60代、中には70…、という感じでございまして、、、」拙者が「わかりました」というと「大丈夫でしょうか?」と問われる。大丈夫というのも何かおかしな気がしたので云々と頷いておいた。

店内の模様には驚かされる。すり鉢状の円形に多くのボックス席が配置されており、正面は巨大なステージ、その上には巨大でレトロなシャンデリアが。店内にはひとつもLEDを感じさせる灯りはなくレトロでノスタルジックな雰囲気が漂っている。客入りは広い店内の三分の一ほど。客層は高齢者が中心だが、高齢者に連れられた若い人も少々いた。

私に席に着いたのはM嬢、60代前半だと察する。

「あなた、初めて?驚いたでしょ、この雰囲気、入口であなたが入るの見てたんよ、逃げ出すかと思ったんやけど」

「は、はい、勇気を出してがんばりました」

「はよ飲み、酔っぱらったらババアも若い子も一緒よ」

「・・・あはは」

いくら酔ってもババアと若い子が一緒になることはない。

「入口で40代以上しかいないけど大丈夫かと聞かれました」

「そやねん、それ聞くの大事、ちゃんとインフォームドコンセントしとかなババアしか出て来んやないかってボーイと殴り合いの喧嘩になったらかなんしな」

「な、殴り合いですかぁ」

「そや、殴り合いになったら負けへんけどな」

というわけで恐らく国宝級の猛者ホステスがお揃いだと察する。この雰囲気、大阪っぽくてなかなかイケる。帰り際、入口の初老のボーイに、

「お気に召されましたか?」

「・・・楽しめました(;^_^A)

というわけでグランドサロン十三で高度成長期の日本の活気ある時期に思いを馳せる夜となりました。

 

グランドサロン十三HP

https://juso13.net/

 

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