2025/10/21
まだクランクアップに至っちゃいないが、どうしても観たい映画がある。
主にホラー映画を手掛けてきた泊誠也監督の『冤罪のつくりかた』がそれである。タイトルからもわかるがこれはホラー映画ではない。シリアスでスリリングな骨太の社会派映画なのである。
泊をインタビューすると切迫感に満ちたフレーズが頻繁に飛び出てきた。
〝こりゃあ、進むも地獄、退くも地獄だわな〟、〝正義ってどこにあるねん〟、〝人の心って一夜にして180度簡単に変わるんやな〟、〝それでも僕は撮り切らなあかんのや〟、〝誰もが陥る危険性があることを知ってほしい。僕だってこの映画を創る段になって初めて知りました。このことを広く知ってもらうためにこの映画を撮っていますんや〟……
一見ひょうひょうとしたイメージだが、泊の奥底に潜むFighterとしての一面を見た。こういう勇気ある映画監督がいるんだ、まだまだ捨てたもんじゃないな、我が国の映画業界も。
この映画の根底に流れているのは〝反権力〟である。ただし、『蟹工船』(1953(昭和28年)年現代ぷろだくしょん製作 山村聰監督・主演)のような(あまりに古くてかたじけない(涙))プロレタリア映画ではない。モチーフとなっている〝事件〟についてはむしろ恬淡と描かれている。ところが、主題の冤罪については被害者側からではなく、でっちあげる側のことを入念に粘着力ある演出で描き出している。これがこの映画の醍醐味なのである。
ほら、こうまで書かれると筆者だけでなくあなたも観たくなったでしょう?泊監督、早く完成させて、公開してくれ。(つづく。敬称略)
廣田玉紀(フリーランスジャーナリスト)
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