2026/04/11
否定され続けてきた、第三者委員会の報告書
現在、東京地裁で第三者委員会を巡る注目の裁判が進行している。
今では企業で不祥事が起これば、「第三者委員会」を組織するという動きが慣例化している。社内の身内では、不祥事の原因究明やそれを生んだ土壌、今後の対策など、なかなか自浄作用が働きにくいからだ。だから「第三者」に期待されるのは、社内に寄らない、弁護士や会計の専門家の存在だ。だが実際には、その透明性や(頼まれに過ぎない)独立性、結果ありきの〝禊〟としての要素など、制度そのものに対する問題点が、そのその度ごとに指摘されてきた。
例えば過去においては、スルガ銀行のシェアハウス向け不正融資事件(いわゆる「かぼちゃの馬車事件」)で、不正融資の責任を問われて懲戒解雇された元営業トップが不当解雇を訴えた訴訟では、23年6月に東京地裁が第三者委員会の報告書での判断を否定するということがあった。
また関西電力役員が社外の関係者から3億7000万円近い金品を受領していた件でも、外部の調査委員会の報告書では、特別背任で元役員を責任追及すべしとされていたものの、やはり23年4月に検察審査会は起訴を求めないとした。
直近で一般人にも記憶が新しいところでは、フジテレビの中居正広問題で、25年5月に中居側代理人弁護士は「重大な人権侵害」と反論。つまり司法・捜査当局・当事者らから疑義が出されていた。同じショービジネスでは、23年9月に宝塚歌劇団の団員が急死した事件で、24年3月に劇団と親会社の阪急阪神ホールディングスが、外部弁護士による調査チームが出した「いじめはなかった」という結論に反し、「パワハラがあった」と謝罪に至ったということさえある。
つまり専門家で構成される第三者委員会には〝天の声〟が期待されている一方、あくまで任意に組織されるもので法的根拠はなく、かつ前述の問題点以外でも、調査期間はわずか数カ月という時間的制限があり、実態としては極めて不十分な物でしかなくときには新たなトラブルにさえなっているのだ。
しかも不祥事に端を発したものだけに、事態は深刻だ。特に当事者はとかく「結論ありき」で、過度な責任を負わされて、深刻な人権侵害に及びかねないからだ。
そして現在行われている裁判では、〝当事者〟が第三者委員会が提出した報告書の是非を真っ向から問うている。だから注目なのだ。
原告は、23年6月に東京都公安委員会から反社条例に基づく勧告が行われた住宅メーカー・三栄建築設計創業者の小池信三。被告は勧告当時の役員、社外取締役、勧告を受けて立ち上げた第三者委員会委員長などだ。
しかも勧告を受けて設置された第三者委員会が8月15日の報告書で、「小池=利益供与の首謀者」と〝クロ〟断定した後の10月には、小池は結局は東京地検検察庁の取り調べを受けることなく不起訴処分になっている。やはりここでもまた、第三者委員会の報告書の結論が、捜査当局によって否定される形となっているのだ。
さらにまたこれは後に詳しく述べるが、この第三者委員会は、その前に立ち上がった社内調査委員会から横滑りの形で2人が重なっている。ここでもまた透明性・公平性で問題のあるものだったのだ・・・・・・➁に続く
(本誌・第三者委員会問題追及班)
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