政治•経済 トランプ関税に違憲 それでも対米投資を続ける日本はどう映るか
トランプ関税に違憲 それでも対米投資を続ける日本はどう映るか
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2026/03/03

 2月、米連邦最高裁がトランプ政権の象徴であった相互関税に違憲判決を下した事実は、世界経済の潮流に大きな一石を投じた。この歴史的な司法判断は、大統領による独断的な関税発動を憲法違反とし、課税権限は本来議会にあるという原則を突きつけた。国際通商秩序の正常化を期待する声が世界中で高まる一方で、日本政府は昨夏に合意した巨額の対米投資計画を維持する方針を崩していない。こうした日本の振る舞いを、たとえばASEANは冷ややかな、あるいは危機感を孕んだ視線で見つめている。

かつて日本は、ASEANにとって「クリーンでルールを遵守する経済大国」の象徴であった。欧米のような強引な政治的介入を避け、質の高いインフラ投資や技術移転を通じて地域の発展を支える、いわば「第三の選択肢」としての信頼を勝ち得てきたのである。しかし、近年の米中対立の激化に伴い、日本が急速に米国陣営へと傾斜していく姿は、ASEAN諸国の目には日本の独自性が薄れていく過程として映っている。

今回の違憲判決を受けてもなお対米投資を加速させる姿勢は、日本がもはや多国間主義の旗振り役ではなく、米国の不合理な要求さえも受け入れる「陣営の一員」に完全に取り込まれた証左と受け止められかねない。ASEAN諸国は、中国という巨大な隣人と経済的に深く結びつきながら、安全保障では米国に依存するという危ういバランスの上に立っている。彼らが日本に真に期待していたのは、米中双方に物申せる調整役としての立場であった。

しかし、日本が経済安全保障の名の下で対米傾斜を強め、自国の資本を米国内の雇用や産業育成に集中させる現状は、ASEANにとって実利的な不安をもたらしている。日本が米国の「補助エンジン」として機能することを選び続けるならば、成長著しい東南アジア市場への投資や支援は二の次になるのではないかという懸念だ。独自性を失い、米国の戦略に従属する日本は、もはや対立を緩和するクッションではなく、対立構造を固定化する一部に過ぎないと認識されつつある。

ASEANが目指しているのは、大国間の対立に巻き込まれない独自性の維持である。日本がかつてのクリーンな国家としての輝きを取り戻すためには、同盟関係への配慮だけでなく、アジアの共感を呼ぶ独自の通商戦略を再提示することが不可欠である。このまま独自色が埋没し続ければ、日本はアジアにおける「最も信頼できるパートナー」という椅子を、自ら手放すことになりかねない。

(ジョワキン)

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