政治•経済 高市内閣が国内での原薬製造基盤の構築を推進
高市内閣が国内での原薬製造基盤の構築を推進
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2026/03/08

 2月27日の衆議院予算委員会で中道改革連合の伊佐進一議員が重要供給確保医薬品の確保ついて高市早苗首相に質疑した。伊佐議員の供給確保医薬品の国内での製造体制構築の要望に対して、高市首相もかねてからそのことに関して懸念を抱いていたとして、取り組みに意欲的な答弁を行った。新型コロナウイルス禍は日本の医薬品供給体制の脆弱性を浮き彫りにした。マスクやワクチンのみならず、日常診療を支える基礎的医薬品の供給が海外の生産停止や物流停滞に左右される現実が明らかになったからである。とりわけ原薬(API)を特定国に依存する構造は、国家の医療安全保障上の重大なリスクである。たとえば、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリンGやセファゾリンは手術時の感染予防や肺炎治療などに不可欠な基幹抗菌薬だ。さらに重症感染症に用いられるメロペネム、MRSA治療の切り札であるバンコマイシンも同様である。これらの原薬は中国やインドなど海外依存度が高いとされ、供給停止が生じれば医療現場は即座に機能不全に陥る。感染症流行時に抗菌薬が不足すれば、救命率の低下は避けられない。高市首相が経済安全保障担当相であった在任中に抗菌薬については予算を執行して国内での製造体制を構築した。しかし、この問題は抗菌薬に限らないという指摘を伊佐議員はしている。局所麻酔薬アナペインや透析患者に使用されるレボカルニチンのように日常医療を支える薬剤でも原薬依存が指摘されている。平時には価格競争力を優先し海外生産に依存する構造が合理的に見えても、有事には供給途絶という形で国民の生命に跳ね返る。コロナ禍の教訓は明白だ。医薬品は単なる商品ではなく「戦略物資」である。国内に一定規模の原薬製造基盤を維持し、複数国調達や備蓄体制を組み合わせたサプライチェーンの多元化を図ることが不可欠だ。短期的にはコスト増を伴うが供給断絶による社会的損失と比較すればその投資は保険料に等しい。平時からの設備投資支援、長期購入契約による需要保証、技術者育成、こうした政策を通じて「国内で作れる力」を保持することが医療安全保障の核心である。危機は忘れた頃に訪れる。だからこそ、危機の記憶が新しいうちに備えを制度化しなければならない。

(坂本雅彦)

 

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