政治•経済 揺らぐ東アジアの均衡 「高市大勝」が招く日中対立の臨界点
揺らぐ東アジアの均衡 「高市大勝」が招く日中対立の臨界点
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2026/02/13

 2月8日に投開票が行われた第51回衆議院議員総選挙は、自民党の圧倒的な勝利という結果に終わった。2025年秋の政権発足以来、高市早苗首相は少数与党という不安定な政治状況下で慎重な舵取りを余儀なくされてきたが、今回の民意獲得によってその呪縛を脱したといえる。この選挙結果は、単なる一政党の勝利を意味するものではない。高市首相が長年抱いてきた「強い日本」を具現化するタカ派的外交が、名実ともに始動することを告げる号砲となった。

今後、日本の外交政策の重心は、これまでの曖昧な協調から原理原則に基づく対峙へと劇的にシフトするだろう。とりわけ対中関係においては、経済的相互依存を盾にした中国側の圧力に屈することなく、国家の毅然とした意思を突きつける姿勢が鮮明になることは疑いようがない。その試金石となるのが台湾情勢である。「台湾の安定は日本の生命線」と断じる首相は、選挙での信任を背景に、台湾との安全保障上の連携をこれまでにないレベルへと引き上げる構えだ。具体的には、米台との合同演習を視野に入れた実戦的な協力体制の構築や、有事の際の意思疎通ルートの確立など、従来はタブーとされてきた領域にまで踏み込む実効的な抑止力の強化が、表裏両面で加速していく。

しかし、こうした積極的な抑止の追求は、必然的に中国側の激しい拒絶反応を呼び起こす。北京は高市政権の動きを核心的利益への重大な挑戦と捉えており、日本の防衛協力が深化するほど、それに対抗する形での軍事的デモンストレーションは過激さを増すだろう。既に尖閣諸島周辺や台湾海峡での軍事的挑発はエスカレートの一途を辿っており、日中の軍事的な距離が縮まることで、意図せぬ衝突のリスクもこれまで以上に高まっている。

外交的な対話パイプが目詰まりを起こし、不信感のみが雪だるま式に膨れ上がる現状において、台湾有事はもはや遠い未来の予測ではない。指導者の強固な政治的信念と、既存の秩序に挑む大国の野心が正面からぶつかり合う中で、東アジアはかつてない緊張の極致へと向かっている。選挙によって手にした「強い権力」が、地域の安定をもたらすのか、あるいは破局への導火線となるのか。日本は今、国家の運命を左右する極めて危うい選択を、自らの手で進めようとしている。

(ジョワキン)

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