政治•経済 ドンロー主義とは
ドンロー主義とは
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2026/01/17

ドナルド・トランプ大統領が提唱する「ドンロー主義」とは、自身の名「ドナルド」と、19世紀のアメリカ外交の根幹であった「モンロー主義」を掛け合わせた造語である。かつてジェームズ・モンロー大統領が唱えたモンロー主義は、欧州諸国による米州への干渉を拒絶し、相互不干渉を原則とするものであった。しかし、トランプ氏が掲げるドンロー主義は、この伝統的な防衛的孤立主義を大きく超越した、極めて能動的かつ強権的な「西半球における米国の絶対的優位」を象徴している。

この主義の核心は、南北アメリカ大陸とその周辺を含む「西半球」を米国の排他的な勢力圏と見なし、そこにおける他国の影響力を徹底的に排除する点にある。従来のモンロー主義が欧州への「不干渉の約束」を裏に含んでいたのに対し、ドンロー主義は米国の国益のためであれば、他国の主権を顧みず直接的な介入や支配を辞さない。ベネズエラに対する一方的な軍事行動や、デンマーク領グリーンランドの領有を主張する動きは、まさにこの主義の具現化といえる。それは、もはや相互不干渉の原則ではなく、米国を頂点とする新たな帝国主義的な秩序形成を目指すものだ。

また、ドンロー主義はトランプ氏特有の「米国第一主義」を地政学的に先鋭化させたものでもある。国際機関など多国間の枠組みから次々と脱退し、ルールに基づく従来の国際秩序を否定する中で、確固たる自国の勢力圏を物理的に確保しようとする意図が透けて見える。この姿勢に対し、メキシコを筆頭とする中南米諸国や、グリーンランド問題に直面する欧州諸国からは、主権侵害や国際法無視であるとの強い批判が噴出している。

ドンロー主義の台頭は、米国が戦後長らく担ってきた「世界の警察官」としての役割を完全に捨て去り、より露骨な勢力圏争いの時代へと回帰していることを示唆している。この独善的な外交方針が、今後中南米の政情不安を加速させ、同盟国との亀裂を決定的なものにするリスクは極めて高い。我々は今、米国の外交がかつての孤立主義を超え、予測不能な覇権主義へと変質していく歴史的な転換点に立ち会っているのである。

(ジョワキン)

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