2026/03/03
日本とドイツは第2次世界大戦の敗戦国という共通点から共に核保有問題はタブー視されてきた。したがってNPT(核不拡散条約)の加盟国として、国際的には核保有を断念している。
また日本は韓国や中国に対して、ドイツはイスラエルとポーランドとの関係において、戦争での加害者意識が先行し、冷静な安保問題議論が出来なかったことも共通項である。
韓国は日本に、オーストリアはドイツに併合されたが、オーストリアが戦争加害国としての認識を有しているのに対し、韓国は併合自体を否定しているまことに妙な国である。まあそれはさておく。
日本もドイツも戦後、「米国の核の傘」に依存してきたが、ドイツの場合、北大西洋条約機構(NATO)枠組みから米国の核を15~20発(B61核爆弾)配備しており、有事の運用訓練も実施済み。核が配備されているのはビュッヘル空軍基地内の地下シェルターである。
一方、日本は「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則により、持ち込みすら認めていない。だから、日本の場合は与野党の関係なく、政治家が核保有の必要性を公の場で話せば、メディアから一斉バッシングを受けることは必然となる。
その点でドイツの核論議は自由だ。「ドイツの原子爆弾への道筋はどうなるか」(シュテルン1月29日号)の中で、ドイツ軍准将が「ドイツも独自の戦術核が必要だ」と述べた。ドイツ独自の核武装論はこの准将だけのものではない。
さて日独は、高度な原子力技術と経済力を持ち、政治的決断があれば核武装が可能とされる「潜在的保有能力」を有している点も共通している。専門家は両国とも3年以内に原爆を製造できるだろうと予測しているが、これは少々買いかぶりすぎ。独は脱原発、日本は福島原発の後遺症から核技術者が激減している。
ドイツで核保有論争が勃興した背景にあるのはロシアへの脅威だ。ウクライナ戦争が勃発し、ロシアのプーチン大統領はウクライナを支援するドイツや欧州諸国に対して核の脅威をちらつかせている。
一方、日本の場合、中国共産党政権の意図を受けたメディアなどが、核使用をチラつかせ、その上、ほぼ隣接国である北朝鮮が核戦力を強化している。日本は中露朝複数の核保有国に取り囲まれており、その脅威はドイツ以上だが、核保有においては身動きがとれていない。
しかもドイツには 仏英との「欧州独自の核抑止」という多国間連携の選択肢があるが、日本の場合 地域の多国間同盟がなく、米国の傘に代わる枠組みない。加えてトランプ政権が今後も日本の安全保障に責任を持つかどうかも怪しくなってきている
日本がこのまま核保有を拒絶した場合、敵国は戦略核兵器攻撃を仕掛けても、報復核攻撃を恐れる必要がない。日本が世界唯一の被爆国だといった感情論は敵国には通用しない。
したがって日本が2度目の被爆国にならないためにも核保有すべきだという論には一定の説得力がある。
ただし、日本が核保有に舵を切れば、NPO体制は崩壊し、周辺国に核武装のドミノ現象が生じる懸念が出てくる。そこで高市早苗首相は、直接的な「保有」よりも、米国の核を共同運用する「核共有」や核を搭載可能な潜水艦の共有といった「拡大抑止の強化」を検討すべきだという折衷案を提示しようとしているのである。
折しもトランプ氏は、韓国の「ウラン濃縮・再処理」を支持したらしいとの未確認情報がある。トランプ氏はNPO体制をも崩壊させるかもしれない。(梛野順三)
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