政治•経済 社会•事件 相次ぐ欧州首脳の”習近平詣で” 亀裂深まる欧米関係
相次ぐ欧州首脳の”習近平詣で” 亀裂深まる欧米関係
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2026/02/10

国際政治の舞台において、西側諸国の足並みの乱れがかつてないほど鮮明となっている。2025年末から最近にかけ、フランス、英国、アイルランド、フィンランド、さらには北米のカナダまでもが、指導者を相次いで北京へと送り込んだ。習近平国家主席との会談を重ねるこの一連の「訪中ラッシュ」は、米国が主導する対中包囲網に看過できない深刻な亀裂が生じていることを如実に物語っている。

中国側はこの状況を、米国と欧州との間に決定的な「楔」を打ち込む絶好の機会と捉えている。米国が安全保障を大義名分に、先端技術の輸出規制や経済的デカップリング(切り離し)を強硬に迫るなか、中国は巨大な内需市場の開放と巨額の経済協力を報酬として提示し、欧州諸国の実利主義を巧妙に揺さぶっているのだ。北京を訪れた各首脳が、米国との伝統的な同盟関係を維持しつつも、自国の景気浮揚や通商拡大のために中国との独自の対話を強調する姿は、かつての強固な対中包囲網がもはや空洞化しつつあることを示唆している。

特に注目すべきは、英国のスターマー政権が約8年ぶりとなる首相訪中を敢行し、大規模な経済使節団を同行させた点である。EU離脱後の慢性的な経済停滞と物価高に苦しむ英国にとって、中国との関係改善による投資呼び込みは、背に腹は代えられない切実な生存戦略であった。また、フランスのマクロン大統領も戦略的自律を旗印に、対中政策において米国に従属しない独自の立ち位置を改めて鮮明にした。フィンランドやアイルランドといった中規模国家も、自国のハイテク産業や農産物の販路拡大を狙い、実務的な首脳外交を優先させている。

こうした同盟国の動きに対し、ワシントンでは深刻な懸念と不信感が広がっている。バイデン前政権以降、米国は同盟国を総動員して中国の台頭を抑え込もうと腐心してきたが、足元の欧州が経済的利益を優先して北京と握手することで、対中制裁の実効性は著しく削がれることになる。欧米間のこの温度差は、安全保障を優先する米国の論理と、目前の経済回復を最優先とする欧州の本音との乖離に他ならない。

結果として、中国は軍事力を行使せずとも、経済という武器を用いて西側諸国の結束を内部から静かに解体しつつある。米国が強硬姿勢を強めれば強めるほど、経済的依存度を下げられない諸国は、自国の存立のために北京との対話を選ばざるを得ないというジレンマに陥っている。この大西洋の両岸に生じた構造的な亀裂は、今後の国際秩序の主導権争いにおいて、決定的な転換点となる可能性を秘めている。

(ジョワキン)

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