連載•小説 連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.73『区民プールに孫正義』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.73『区民プールに孫正義』
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2025/12/29

 俺が通っている区民プールでいつも同じオジサンに会うのだが、その人が孫正義に似ている。それもちょっとやそっとではなく、瓜二つなのである。世の中には同じ顔の人間が三人いるというが、区民プールの孫正義は顔だけでなく、体型までもが同じなのだ。となると、それはもう孫正義本人と言い切ってもよいと思うのだが、最大の疑問は、そもそも大富豪の孫正義が入場料200円の区民プールに通うのか?である。よく金持ちほどケチだと言われるが、孫正義ほどの人物になると、200円も200億円も同じ価値なのかもしれない。

俺は遭遇する度に孫正義を観察している。プールサイドでの独特の準備体操は非常に短い。時は金なりという精神なのかもしれない。俺は勝手に『ソフトバンク体操』と名付けることにした。

ああ、ここまで来ると、一度、思い切って声をかけたい。

だが、今のところ決定的な証拠がないので、俺は、区民プールの孫正義をしばらく泳がせている。

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