2025/11/29
匿名・流動型犯罪グループ(通称・トクリュウ)による悪質事件が相次ぐ中、現役の警察官がトクリュウに捜査情報を漏洩したとされる信じがたい事件が発覚した。「ミイラ取りがミイラになる」という冗談では決して済まされない極めて深刻な事態だ。警視庁は11月12日、性風俗店への女性斡旋などで摘発された国内最大級のスカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏らした地方公務員法違反の容疑で、同庁暴力団対策課の警部補、神保大輔容疑者(43)を逮捕した。自宅からは、現金900万円が押収されており、捜査情報を流す見返りに現金を受け取った可能性もあり、警視庁が実態解明を進めるという。
捜査関係者などによると、神保容疑者は2023年から今年3月までの間、「ナチュラル」が関与する事件の捜査に関わっていたという。組織犯罪の捜査を14年にもわたり担当していたベテラン刑事で、トクリュウ捜査の中枢を担っていたともいえる人物のようだ。今回の逮捕容疑は組織に対するとんでもない裏切り行為で、警視庁関係者は「警察官として完全にダメな一線を超えた。捜査対象との距離感を誤ったとかいう過失の時限ではなく、絶対に許されない」と憤りを隠せない。
神保容疑者による情報漏洩の影響がどれほどあったか不明だが、警視庁が今年1月に「ナチュラル」の関係者を逮捕しようと現場に捜査員が踏み込んだところ、関係者がいなくなり、そのまま行方不明になるケースもあったという。ナチュラルは、メンバー同士が偽名で呼び合うなどして匿名性が高い違法行為集団とされ、警察当局はトクリュウと認定している。
近年、警察当局は、ナチュラルのような違法な性風俗犯罪にとどまらず、特殊詐欺でだまし取った金を資金源とするトクリュウの摘発を強化している。
当然だが、トクリュウに対する捜査の原資となっているのは国民の血税だ。日本を代表する捜査機関である警視庁の中枢捜査員による情報漏洩は、国民への重大な背信行為とも言えるだろう。
赤間二郎国家公安委員長は11月13日の参院予算委員会の答弁で、「言語強談で極めて遺憾。再発防止策の徹底を指導する」と言及したが、呆れている国民は少なくないはずだ。
なぜ、警視庁の警部補として働き盛りの捜査員が、悪質なトクリュウに取り込まれる事態にまで陥ってしまったのか。情報漏洩はナチュラルに対してだけだったのか、あるいはこれまでも様々な犯罪組織に漏洩を重ねてきた可能性はないのか。背景事情も含め、事件の徹底解明が求められる。(桜田亮)
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