2026/03/23
障害者を見守るべき立場として、どこまでの責任を負うべきか、刑事司法は難しい判断を迫られることになる。東京都国立市のJR南武線踏切で2025年3月、知的障害者施設の入所者の男性(当時48歳)が電車にはねられて死亡した事故で、警視庁が、必要な見守りを怠ったとして、施設を運営する社会福祉法人の元男性職員(40歳代)を業務上過失致死容疑で東京地検立川支部に書類送検した。関係者によると、警視庁は、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとされ、検察が起訴すれば、職員は刑事罰に問われることになる。
▼14メートル離れた車内で携帯
関係者によると、元職員は2025年3月8日午後3時ごろ、重度知的障害者の男性がJR南武線矢川―谷保駅間の踏切内に立ち入った際、適切な付き添いを行わず、列車との衝突によって男性を死亡させた疑いが持たれている。
元職員は、男性も含めた複数の入所者らとドライブに出向き、電車を見ようと外に出た男性から約14メートル離れた車内で携帯電話を操作していたとされる。「男性が1人でも電車を見られると過信してしまった。防げた事故だった」などと容疑を認めて反省していることから、警視庁は身柄を拘束する「逮捕」ではなく、任意捜査の結果、証拠書類などとともに検察官に送る「書類送検」にとどめた模様だ。
ただ、警視庁は書類送検時に、最も重い「厳重処分」の意見を付けていることから、元職員のずさんな見守りによって男性が命を落とした点を重くみているとみられる。
▼担い手不足
障害者や高齢者ら社会的弱者の安全安心のため、福祉施設の重要性は増している。今回の事件は、たまにある「電車死亡事故」という位置づけゆえか、各メディアでもそれほど多く取り上げられていない。ただ、担い手不足が課題となる福祉業界において、入所者の見守りを怠ったとして、イチ職員が業務上過失致死容疑で書類送検までされているわけなので、大きな衝撃が広がったのではないだろうか。元職員の刑事処分に注目が集まる。(桜田亮)
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