2025/12/03
中小企業を守る「下請け代金支払遅延等防止法」(通称・下請法)が20年ぶりに抜本的に改正され、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払い遅延等の防止に関する法律」(通称・中小受託取引適正化法)に生まれ変わる。本来は下請け業者を守る法律として、長年にわたり効力を発揮してきた法律だが、常につきまとっていた「下請け」という負のイメージを法改正によって払拭するとともに、厳罰化によって悪質な発注者側の規制を強化されることが期待される。
名称変更以外で改正の柱となるのが、発注者側が受託業者との価格協議の過程で、一方的に代金を決める行為を禁じる規定を新設したことだ。立場の強い発注者側が協議に応じず、受託する中小企業が泣き寝入りすることを防ぐ狙いがあり、発注者と受託者の間で適正な価格設定が進むことが図られる。
名称変更には、法律を所管する公正取引委員会と中小企業庁の強い意向が働いているようだ。刑法の性犯罪について、強姦罪が強制性交罪、不同意性交罪と、告訴要件や処罰要件の変遷に伴って罪名変更されたケースがあるが、法改正に合わせて法律の名称を大幅変更するのは極めて異例である。
これまで下請法で取り締まられるケースで多かったのが、立場の弱い受注者や労働者らに著しく低価格を押しつける「買いたたき」。買いたたきによって商品やサービスの価格を据え置くことは、適正な競争を阻害することにもなり、許されない。公取委は立場の弱い受託企業を守るために奔走している。公取委が2024年度に、下請法違反で再発防止などを求める勧告を出したのは21件。前年の13件から8件増加し、平成以降では最多となった。
下請法の改正は、公取委による取締強化の追い風になるのは間違いないだろう。ただ、大事なのは、法改正によって当事者である発注者側と受注者側への啓発である。発注者が法律に違反するような買いたたきなどに走ることは当然許されないが、立場の弱い中小企業もしっかりと声を上げる勇気を持つことが大切になるだろう。
(桜田亮)
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