2026/03/10
1984年に滋賀県日野町で酒店経営の女性が殺害された「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定した阪原弘さん(2011年に病死)について、最高裁が再審開始を決めた。戦後に死刑や無期懲役で確定した事件で、元被告の死後に裁判がやり直される「死後再審」は初めて。今後、大津地裁で再審公判が開かれ、無罪となる公算が高い。ただ、元被告は救済も名誉回復もされることなく服役中に死亡しており、検察や裁判所には二度と同様の事態を引き起こさないような対応が求められる。
■警察が自白を強要か
阪原さんは事件発生から3年後に自白して逮捕され、公判では「警察に自白を強要された」と一貫して無罪を主張したが、1、2審と最高裁はいずれも有罪と判断。2000年に無期懲役が確定した。阪原さんは生前の2001年に再審を請求したが、服役中の2011年に75歳で病死している。
事件では、遺体の遺棄現場を案内する阪原さんの写真が有罪の決め手となったが、後にその写真に不自然な点があることが発覚。検察が開示した証拠のネガフィルムには、警察官が阪原さんを誘導したかのような画像が残っていたのだ。
ただ、ネガの存在が判明したのは、阪原さんの死亡後で、重要な証拠にもかかわらず、長年にわたり開示されてこなかった。早期に証拠が開示されていれば、もっと早く阪原さんの再審開始が決まり、生前に逆転無罪を勝ち取ることもできていただろう。
■再審法改正に影響必至
今回の死後再審決定は、現在議論されている再審法改正に影響を与えるのは間違いないだろう。1966年の静岡県一家殺害事件など、他の再審請求事件でも、再審無罪に結びつく重大証拠の開示まで20~30年も要しており、速やかに証拠を開示する仕組みが不可欠なのは明らかといえる。
阪原さんが失った時間は帰ってこない。今後の再審で無罪となり、汚名がすすがれたとしても、無垢の人が「無期懲役囚」のまま死亡した現実は極めて重い。再審の迅速化に向けた制度改革は急務だ。
(桜田亮)
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