2025/07/01
日本は世界第6位の広大なEEZ(排他的経済水域)を保有している。この海域には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、そしてレアアース泥といった豊かな海洋鉱物資源が埋蔵されている。
もっともこれら海底資源を経済的に開発するためには高い技術力と資金力が必要となる。特殊な採鉱設備や海中の搬送システム、さらに陸上での選鉱・焼鉱・精錬といった一連のプロセスが全て連動して初めて資源開発は成立する。しかもこうした技術に精通しているのは、75歳を超えたベテラン技術者たちのみだ。早く実用化に着手しないと手遅れになる。
日本は過去30年にわたり深海資源開発に多額の投資を行ってきた。南鳥島周辺のレアアース泥は世界有数の埋蔵量を誇るとされるが、開発技術の限界と採算性の見通しの欠如が、いまだ商業化の足かせとなっている。
ところで4月24日、トランプ米大統領は深海鉱業振興を目的とした大統領令に署名した。背景には、中国によるレアメタル、とりわけレアアース7種(ディスプロシウム、テルビウム、ネオジム、イットリウム、ガドリニウム、ルテチウム、スカンジウム)の輸出禁止に対する危機感がある。
ホワイトハウスによると、米国の排他的経済水域には10億トンを超える多金属団塊が存在するという。政権中枢の試算によれば、この新たな資源政策により米国のGDPは10年間で3000億ドル押し上げられ、10万人の新規雇用が創出される見込みだともいう。
日本は日米で深海資源を共同開発するディールを提案すべきだ。日本列島周辺における中国の脅威だけでなく、ロシアの台頭などへの対抗策として戦略的行動に出るべき時期にきているからだ。
特に中国から侵犯を受け続ける尖閣列島は、日本の領土でありながら中国に遠慮して尖閣への接近さえ禁じられている。
中国によるレアアース輸出の禁止措置は、単なる貿易戦争の一環ではなく、戦略的覇権争いにおける決定的な攻撃手段になっている。世界にはレアアースが広く分布しているものの、その実効的支配において中国の存在は圧倒的で、採掘シェアは70%以上、精錬能力に至っては世界の90%以上を抑えている。この技術的インフラの蓄積こそが、資源覇権における中国の力の源泉になっているのだ。
特に、ディスプロシウム(Dy)はジェットエンジンの熱耐性に不可欠であり、イットリウム(Y)は高周波レーダーの構成要素である。これらが欠如すれば、次世代戦闘機「F47」のプログラムにおいて米国は決定的な技術的遅れをとることになる。したがってアメリカが中国の供給停止に強い危機感を抱くのは当然のことだ。
代替供給源と目される豪州や米国マウンテンパス鉱山はすでに再稼働しているが、採掘から精錬までを環境規制下で遂行するには困難が伴う。結局のところ、中国の環境を無視した一貫した供給体制に対抗できる体制は整っておらず、技術・設備・コストのいずれにおいても現状では中国優位を覆すに至っていない。
そこで尖閣列島に日米合同の深海資源開発基地を設立するのだ。米国との共同開発は、資源確保の実利に加え、対中国戦略としての政治的・軍事的メッセージともなる。米国との協働策ならば尖閣にたかるハエ・中国は傍観するしかない。
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