政治•経済 社会•事件 今頃慌てても遅い 日本産のコメの自給率はすでに手詰まりだ
今頃慌てても遅い 日本産のコメの自給率はすでに手詰まりだ
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2025/06/30

 白米が貴重だった昭和初期の食糧難の時代には「銀シャリ」と崇められた。その後飽食の時代を迎えた折りには、「三白(白米、白砂糖、精製塩)の害」と嫌われ、白米は脚気(かっけ)や糖尿病、動脈硬化などのリスクを高め、食べ過ぎはカロリー過多を招き、肥満の原因になるからと減産に追い込んだのはわれわれ消費者である。

いまや日本人の食生活が欧米化しコメを消費しなくなった。国民1人当たりのコメの消費量は約50年前と比べるとほぼ半減、約20年前と比べても2割以上減っている。農業従事者もこの20年間で半分まで減った。農家の高齢化も来るところまで来ている。

それでも日本には農地法(農地は原則として農家が所有・管理するもの」の関係で企業が農地を直接購入することは基本的に禁止されており、参入するには「リース(賃貸)」や「農業法人の設立」が必要になるなど参入障壁が高い。

「令和のコメ騒動」が起きた背景には、このように複雑に絡まったいくつもの問題が横たわっている。それを放置してきた過去何十年にわたる農業無策のツケが今になって回ってきただけの話だ。

そもそもコメの価格がこれだけ高騰しているのは、単純に「コメの生産量が需要に足りていないから」だ。

コメを生産し過ぎれば価格も下がってしまうため、政府、農協、コメ農家はこれまで生産量を減らして調整してきた。こうしてコメ市場が小さくなったことで、わずかな需給変動で価格が大きく上下してしまう現況が出来上がった。これがザックリ言って今回の「令和の米騒動」の原因である。

そんなコメ不足の中「コメは買ったことがない」と発言し、国民から総スカンを食った江藤拓農林水産相が更迭され、後任に自民党前選挙対策委員長の小泉進次郎氏が就任した。

コメの価格を下げるのは簡単だ。需要よりも供給を増やせば良い。そのためには、備蓄米の放出、コメの増産、コメの輸入の3つの方法がある。

小泉氏は備蓄米について、早ければ6月の初頭に2000円台で店頭に並ぶよう来週にも「随意契約」の手続きを始める方針を明らかにした。

これまで備蓄米の放出は競争入札で行われてきたが、これを随意契約に見直せば、政府が備蓄米を売り渡す集荷業者を選んで決めることになるため、価格を抑えられる可能性がある。ただ、一般的には、政府が特定の業者を選んで公共の財産を安く売り渡すのは望ましくない。この策もコメ不足を補うにはカンフル剤に過ぎない。

 確実なのは増産だ。政府は減反政策によるコメの生産量を減らすことで、過去50年にわたり価格を維持する政策を採ってきたが、これは2018年に終了している。だからコメ農家は自由に作付け計画を立てられるようになったが、コメの価格維持を名目に、政府はいまも一定量の減産を求めているのが実情だ。

そもそもコメの価格が倍になったのなら、経済原則上農家は増産するはずだが、増産したくても休耕田を元の状態に戻すには2年ほどの月日がかかる。すでに既存の水田には水が敷かれている。

そのため、結果として需要に対して供給が追いつかないのだ。輸入については一時しのぎになっても食料安保上好ましいとは言えない。

またコメの価格が下がらない背景に、農協の存在が指摘される。影の総理とも言われる自民党の森山裕幹事長が、農協と太いパイプでつながる農水族議員のドンである以上、下がるわけがないという声もある。

いずれにせよ小泉新大臣の起用でコメ価格が下がるのか。夏の参議院選挙に向け、最大の政治課題の一つとなった。

「大正の米騒動」は、寺内正毅首相の辞任と平民宰相・原敬首相の誕生にまで発展した。「令和の米騒動」も参院選後そんな可能性も否定できない。

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