社会•事件 母体保護法の不妊手術の原則禁止 東京地裁「合理性に乏しい」判決で指摘
母体保護法の不妊手術の原則禁止 東京地裁「合理性に乏しい」判決で指摘
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2026/04/07

 不妊手術を原則禁じる母体保護法の規定を巡り、司法判断が今後の見直しを促すことになるかもしれない。同規定が憲法に違反するとして、20~30歳代の女性5人が国に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は3月17日、規定は合憲だとして原告側の主張を退ける判決を言い渡した。一方で、判決は「規定は合理性に乏しく、不妊手術に関する制度に在り方について適切な検討が望まれる」とも指摘し、脚光を浴びている。

 

■原告は前向き

「女性を縛り続けてきた鎖を断ち切る大きな一歩」

原告にとっては、憲法違反との主張が退けられて敗訴になったものの、不妊手術の原則規定を「合理性に乏しい」と踏み込んで言及した東京地裁判決は、極めて前向きに受け止められたようだ。

母体保護法は、不妊手術を原則禁じており、手術要件として、①妊娠や出産による生命への危険②複数の子供がおり、出産で健康が著しく低下する――のいずれかの恐れがある場合に限っており、配偶者の同意も必要としている。

今回の原告5人は、それぞれが「子供を産める体」への長年の嫌悪感や子供を望まない生き方「チャイルドフリー」などを理由に生殖機能を取り除くことが不可欠だとして、不妊手術を受ける権利が生殖に関する自己決定権として憲法13条で保障されていると主張。要件を満たさない場合に手術を受けられないとした母体保護法の規定は違憲だと訴え、損害賠償も求めていた。

 

■法改正に向けた検討も

 今回の東京地裁判決はまず、憲法では「避妊の自由」が保障され、避妊の方法も複数あると指摘。憲法で不妊手術を受ける権利を保障しているとまでは言えないとして、同法の規定を合憲とみなし、原告の訴えを退けた。

 ただ、現行法上の不妊手術要件は、女性の健康保護という同法の目的に照らして合理性に乏しいとも言及し、その在り方を検討するよう求める不言をした。

 母体保護法を正面からおかしいと踏み込んだ今回の地裁判決。今後、同様の訴訟が新たに起こされるのか、法改正に向けた検討が進むのか――どう波及していくのかが注目される。

(桜田亮)

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