2025/12/24
「検察は不起訴の理由を明らかにしていない」――。逮捕された容疑者が不起訴になった事件の記事で頻繁にみかける文言だが、今後は減っていく可能性が高まってきた。
最高検は11月、社会的関心の高い重大事件の容疑者を不起訴にした際、理由を積極的に公表するよう各地検に指示したのだ。これまでも一部事件に限っては、担当検事や幹部検事の裁量で不起訴理由が説明されてきたが、多くは明らかにしていなかったため、かねて批判が続いていた。ただ、なぜこの時期に「積極公表」に舵を切ったのかは釈然としない。
■裁定主文 起訴猶予と嫌疑なしは雲泥の差
刑事訴訟法により、起訴権限は検察官にだけあると定められている。東京地検特捜部などが手がける検察独自事件で逮捕したり警察から送検されてきたりした容疑者について、検察が不起訴にする場合、主な理由は、犯罪事実を認定しながらも悪質性などを考慮して起訴を見送る「起訴猶予」、証拠が足りない「嫌疑不十分」、証拠が全くなく犯罪事実もない「嫌疑なし」に分かれる。これらの不起訴理由は「裁定主文」と言われている。
犯罪事実が認定される「起訴猶予」と犯罪事実のない「嫌疑なし」では、同じ不起訴でも雲泥の差があるが、検察は不起訴にしたほとんどの事件で裁定主文を明かしてこなかった。一方で、逮捕されるなどした容疑者の名誉回復などの観点からも裁定主文が明かされる公益性は高く、報道機関は昔から検察に明かすよう求めており、事件ごとに報道機関が執拗に裁定主文を聞いても検察が明かさないという「対立」が続いてきた側面がある。
■透明性確保が重要
最高検は今回、各地検に通知した文書で、「検察は不起訴理由を明らかにしていないと批判的に報道され、検察への国民の信頼を少なからず損なっている」と言及。その上で、①公益上の必要性と公表による弊害を考慮し、相当と認められる場合に裁定主文を公表する②裁定主文を明らかにしない場合でも、一定の説明を行う③裁定主文を明らかにできない場合、その理由について一定の説明をする――の3点について指示した。
こうした異例の「積極公表」の姿勢が各報道機関に報じられた後の12月3日、最高検の山元裕史・次長検事はこれまた異例の記者会見を開催。関係者によると、山元次長検事は「国民の理解を得ることができる広報にする」と話したが、裁定主文を明かさないことへの批判は何十年も前から続いているのに、なぜこの時期に積極公表に姿勢を変えたのかについて合理的な説明をしなかったという。
検察はこれまでの「消極公表」の姿勢に非があったことを自ら認めたくないのだろう。検察を巡っては近年、不当な取り調べも問題になっている。起訴権限を独占する検察組織として透明性を保っていくには、なぜ積極公表に舵を切ったのかも含めて国民に対して丁寧に説明する必要がある。
(桜田亮)
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