2025/10/25
ファミリーマートの「ユニクロ化」が顕著だ。同社が前例のない取り組みを全国展開してから今年で5年目になる。「緊急買い」がメインだったコンビニ衣料の概念を変え、「ファミマで衣料品を買う」という目的買いがいまや定着しつつある。
ただし難点は「試着できない」「パッケージを開けられない」といったデメリットが指摘されたが、オンラインストアでのアパレル購入が当たり前となったいま、試着はマストではなくなっている。特にデイリーウェアならなおさらだ。
同社のコンビニエンスウェアを一躍有名にしたのが、ブランドのアイコン的存在ともいえる「ラインソックス」(390円/税抜)シリーズだ。
デザインは、「FACETASM」を展開するファッションデザイナー・落合宏理氏によるもので、発売後まもなく、木村拓哉氏など著名人らが着用してSNSで話題になり、人気に火がついた。
土産としてインバウンド需要も高く、ある店舗ではラインソックスをカゴに詰め込む訪日外国人の姿も散見されるとか。あまりの売れ行きに、その後ローソンも22年から「無印良品」との提携を開始して、靴下やハンカチ、ミニトートバッグなど“ローソンでしか買えない”限定商品で女性客を取り込み、衣料品の売り上げを伸ばしている。
ファミマしかない強みもある。親会社は、繊維を祖業とする伊藤忠商事で、現在も「ポール・スミス」や「ランバン」などのハイブランドから、「デサント」「コンバース」「フィラ」などのスポーツ・シューズブランドまで幅広く展開し、繊維分野では圧倒的な事業規模を誇る。
いわばファミマで先祖返りが行われたわけだが、原料調達や生産に当たっては、その強みが十分生かされた。例えば、定番の『アウターTシャツ』(1355円/税抜)は、USAコットンを使った綿100%素材にして、税込価格は競合他社の1つであるユニクロの「クルーネックT」と比べて10円安い。というわけで、「だったら近くのファミマで」と、消費者の選択肢は当然広がった。
2024年度は年間売上130億円を突破。25年3~8月の売上高は、前年同期比160%を達成した。
看板商品であるソックスは累計販売数2800万足を突破したほか、今夏に発売したサングラスは約3週間でほぼ完売状態になった。ブラウェアや晴雨兼用折りたたみ傘などの新商品も次々と投入されている。
国内のコンビニ市場はすでに飽和状態だが、「コンビニで衣料品を買う」は新たな起爆剤となるか。
(梛野順三)
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