社会•事件 持ち帰り残業で和解 半導体検査機器大手アドバンテスト
持ち帰り残業で和解 半導体検査機器大手アドバンテスト
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2025/12/21

社会で後を絶たないサービス残業。自宅にまで持ち帰って仕事をせざるをえない「持ち帰り残業」「隠れ残業」を巡り、企業側に警鐘を鳴らす価値のある和解といえるのではないか。

半導体検査機器大手「アドバンテスト」(東京)に勤める40歳代の男性社員が、自宅で長時間の「持ち帰り残業」があったとして残業代支払いを会社に求めてさいたま地裁に起こした訴訟で、10月10日付で和解が成立していたことが明らかになった。アドバンテストが男性に解決金400万円を支払う内容で、実質的な男性の「勝訴」とも言える和解だ。

 

▼精神疾患を発症

 男性や男性を支援してきた労働組合「総合サポートユニオン」(東京)によると、男性は2016年から、アドバンテストの光超音波顕微鏡の開発事業で、システム開発の全体管理を任された。当時、会社からは残業時間を月9時間以内とするよう指示されていたため、男性は業務用パソコンを自宅に持ち帰って働く「隠れ残業」が常態化していた。男性にかかる仕事の負担がどんどん重くなり、月によっては残業時間が200時間を超えるケースもあり、男性は相次ぐ持ち帰り残業によって精神疾患を発症したという。

 一方で、会社は自宅に持ち帰っていた「隠れ残業」は、本来の残業にあたらないとして残業代の支払いを拒否していた。このため男性は訴訟を起こし、長期にわたって戦ってきたという。会社側は、訴訟の長期化を防ぐ目的で、「和解金」ではなく「解決金」という形で400万円を支払ったというスタンスで、あくまで持ち帰り残業が「残業にあたる」と自ら認めたわけではないようだ。

 ただ、400万円という解決金は、男性側が求めていた隠れ残業代としてほぼ満額にあたり、完全に男性の勝訴といえる和解といって差し支えないだろう。

 

▼隠れ残業は深刻な人権侵害

 働き方改革が進む中、サービス残業や隠れ残業が横行する会社が、社会的に信頼されないのは言うまでもない。隠れ残業が労働者の健康を損なう深刻な人権侵害にもあたりうる――。政府は働き方改革を推進していく中で、こうした認識を社会全体に浸透させていくことが大切だ。

 

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