政治•経済 社会•事件 裁判官がインサイダー取引 証券取引等監視委員会が刑事告発 特捜部が在宅起訴
裁判官がインサイダー取引 証券取引等監視委員会が刑事告発 特捜部が在宅起訴
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2024/12/30

 法の番人であるはずの裁判官が、インサイダー取引をしたとして罪に問われる異例の事態となった。証券取引等監視委員会は2024年12月23日、金融庁に出向していた裁判官・佐藤壮一郎容疑者(32)を金融庁品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に刑事告発した。佐藤容疑者は同年4月に最高裁判所から金融庁企画市場局企業開示課に出向後、職務を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)に関する未公開情報をもとに違法な株取引を始めていたという

■出向後すぐに不正な株取引

刑事告発を受けた東京地検特捜部が同25日に佐藤容疑者を在宅起訴しており、裁判官が今後は「刑事被告人」として公開の法廷で裁かれることになった。2025年早々にも東京地方裁判所で初公判が開かれる見通しだ。

 証券取引等監視委や関係者によると、佐藤被告は4月の出向直後からインサイダー取引を開始。監視委強制調査を受けた9月までに、自身名義で10銘柄について合わせて計951万円分を買い付けたとされる。

 佐藤被告は、金融庁企業開示課で課長補佐を務め、関東財務局が審査を担当するTOBについて、実施予定日や価格などを知りうる立場にあった。このため、一部の金融庁職員にしか閲覧できないTOB案件を一覧にまとめた資料をみられる権限もあり、出向直後から不正な株取引を始めていたとされる。不正に買い付けた株の売買で、約400万円の利益を得ていた疑いがある。

検察などは「裁判官」の立場を重視

 今回のように数百万円程度しか利益のないインサイダー取引の場合、証券取引等監視委員会は課徴金の行政処分に済ますのが通例で、刑事告発・起訴にまでいたるのは異例だ。監視委や検察が佐藤被告の「裁判官」という立場を重視した上で刑事罰に問うべきと判断した。

佐藤被告は一連の不正を認めているとされ、公判でも起訴事実を認めるとみられ、量刑が争点になる見通しだ

知人らによると、佐藤被告は慶応大学法学部から同大法科大学院を経て24歳で司法試験に合格したエリート。裁判官の妻とも結婚し、経済的に困っていた様子はうかがえず、生活も順風満帆にみえた。これまでの監視委や特捜部の任意聴取には、「ばれないと思った」などと供述しているが、動機についてはまだ詳述していないといい、公判でどこまで犯行の動機や経緯が明らかになるのか。裁判官が被告人となる異例の刑事裁判は今後、世間の注目を集めそうだ。

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