社会•事件 福知山線脱線20年 安全最優先を肝に銘ぜよ
福知山線脱線20年 安全最優先を肝に銘ぜよ
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2025/04/29

 多くの国民が利用する公共交通機関が担う最大の責務は、乗客の安全確保だ。兵庫県尼崎市で起き、乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故は、4月25日で発生から20年となった。事故を起こした当時のJR西日本では、ミスをする運転士ら社員を厳しく叱責した上で反省文を書かせる「日勤教育」が行われており、脱線事故を起こした運転士はそれを恐れて集中力を欠いていたとされる。懲罰的な指導ではミスを防げないという教訓が残された事故だが、近年は鉄道各社で安全面の意識が欠如していると言わざるをえない事態も起きており、改善は急務の課題だ。

■乗客106人が死亡

 福知山線脱線事故は2005年4月25日午前に発生。7両編成の快速列車が脱線し、線路脇のマンションに激突したことで、多数の犠牲者を出す悲劇につながってしまった。国の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)は、制限速度(時速70キロメートル)を大幅に上回る時速約116キロでカーブに進入し、事故が起きたと結論付けた。

 運転士は事故前の駅で電車をオーバーランさせ、運行が1分余り遅れた経緯もあり、JR西日本の日勤教育が事故の背景にあるとの指摘は根強かった。このためJR西は事故後、日勤教育が社員を萎縮させて仕事の質低下を招いたとの反省から、日勤教育を廃止した。

 さらに、事故の背景として、会社の利益や効率を重要視しすぎていた企業風土があった点も見過ごすことはできない。JR西は当時、私鉄との競争が激化する中で、運行本数を増やした過密ダイヤを設定していたため、運転士には電車の遅延は許されないとのプレッシャーがあり、焦りにつながったとの指摘も出ていたのだ。

■安全意識の欠如が鮮明に

脱線事故が起きて以降、JR西や他の鉄道会社では、一時的に安全意識は向上したのは間違いないだろうが、近年は、事故の教訓や反省が生きているのか疑問視せざるをえないケースも相次いでいる。

 JR西日本では2017年、台車に亀裂の入った新幹線を運転士らが異音に気付きながら走行させていた問題が発生。昨年はJR東日本などで、車軸の取り付け作業に伴う記録の改ざんも複数にわたり発覚した。

これだけ不祥事が続いている現状を踏まえれば、鉄道各社は、安全意識が欠如していると批判されても致し方ないだろう。未曽有の大規模被害につながった脱線事故から20年を契機に、改めて各社は襟を正し、安全確保への誓いを新たにすべきだ。

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