政治•経済 社会•事件 沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に 辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛 『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 4回
沖縄県民の憲法13条が本土の13条の犠牲に 辺野古抗議行動デマ中傷の悲痛 『社外取締役島耕作』のお詫びは誰に対するものなのか 弁護士 内田雅敏 4回
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2024/12/31

むなしさを抱きしめ、だが絶望することもなく

 サンゴと多様な生物が生息する大浦湾への土砂の投入は止まらない。キャンプシュワブのゲートからは毎日500台近くのダンプが土砂
を搬入する。沖縄戦の艦砲射撃で裸にされ、再生した山が再び裸にされる。むなしい。しかし、このむなしさを抱きしめながら絶望するこ
ともなく辺野古での抗議行動は今日も続く。これこそが先人たちが連綿として続けて来た沖縄の運動だからだ。

 辺野古での抗議行動は憲法13条(幸福追求の権利)に基づく非暴力の闘いである。現場のリーダーが抗議行動の新たな参加者に「非暴
力とは言葉の暴力も否定するものなのです」と説明する。現場では、排除する機動隊員に対する抗議もなされるが、その場合にも「税金泥棒!」、「ポリ公帰れ!」といった類の「暴言」が吐かれることはない。抗議行動参加者に「土人」と暴言を吐いた大阪府警など、県外の機動隊は別として、排除される沖縄県民、排除する沖縄県警の相互間にある種のリスペクトが存在する。こういうことは上っ面の調査や「取材」ではわからない。現場でずっと座り込みをしていることによって次第に見えて来る。辺野古では抗議行動一辺倒ではない。ダンプの隊列の合間を縫って昼食や交流会がもたれ、各地の報告などのほかに歌や、踊りもある。

 歌には「沖縄を返せ」といった運動歌ももちろんあるが、「海の青さに空の青 南の風に緑葉の 芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 我
した島沖縄」と謳う「芭蕉布」のような民謡も歌われる。歌や踊りはゲート前で機動隊と対峙しているときにも行われる。機動隊の隊長も歌や踊りの最中には規制・排除を控え、頃合いを見て、機動隊員に規制開始を命じる。抗議行動の現場リーダーと機動隊隊長の阿吽の呼吸だ。「ごぼう抜き」に際して、時には双方が激するところもないわけではないが、機動隊員たちの行動は概ね穏やかだ。抗議行動参加者を機動隊員3人がかりで運び出し、尻からでなく、まず足から着地させ、起き上がるのにも手を貸す。筆者は毎回「お世話様」と声掛けしている。人はこれを「馴れ合い」と呼ぶかもしれない。だがこれが「勝つことの秘訣は諦めないこと」という沖縄の運動なのだ。朝、抗議行動の始まる前、ゲート前で抗議行動参加者が沖縄県警員と「おはよう」と挨拶を交わしながらグータッチをすることもある。

 年配の女性から「あなたたち、こんなことをしていていいの」と語りかけられ涙ぐむ、孫のような若い機動隊員を見たこともある。「あ
なたウチナー口(沖縄の言葉)分かる」と声をかけて機動隊員にウチナー口で語り掛ける年配の女性もいる。こういう芸当は年配の女性で
なければできない。昼食は各々がそれぞれ用意して来るが、中に、週1回だが、多くの人々のために盛りだくさんの食事を持参してきてくれる人がいる。聞けば、その日は午前3時頃から起きて準備するそうだ。筆者も随分ごちそうになっている。これを辺野古ヴァィキングと呼ぶ人もいる。手間暇はもちろんのこと、毎週のことだから経済的な負担も大変なものだ。

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