社会•事件 患者間殺人を隠蔽 青森の病院でトップが逮捕 医療業界に激震
患者間殺人を隠蔽 青森の病院でトップが逮捕 医療業界に激震
社会•事件

2025/02/23

 医療業界に激震が走っている。青森県八戸市の「みちのく記念病院」で、患者間で起きた殺人事件を隠蔽したとして、元院長ら2人が犯人隠避容疑で青森県警に逮捕されたのだ。殺人事件は2年前に発生したが、元院長らは被害者の死因を「肺炎」などとする虚偽の死亡診断書を作成するなどし、死亡の経緯を隠したとされる。元院長は、病院を運営する医療法人の理事長でもあり、病院や医療法人としてのモラル崩壊、ガバナンスの欠如が明るみになった形ともいえそうだ。

■殺されたのは73歳の患者

殺人事件は2023年3月12日に起きた。みちのく記念病院に入院していた被害者の男性(当時73歳)が同日深夜、相部屋に入院していた男(すでに殺人罪で懲役17年の有罪判決が確定)から歯ブラシの柄で顔を何度も突き刺され、翌13日午前に死亡が確認された。

当時、現場の看護師らに止血剤の処方などを指示し、患者間殺人を隠そうとしたとされるのが、元院長の石山隆容疑者(61)とその弟の医師・石山哲容疑者(60)だ。青森県警は、当時の診療記録や関係者らの供述を丹念に調べ、事件発生から約2年後の今年2月、両容疑者を犯人隠避容疑での逮捕に踏み切った。

捜査関係者によると、2人とも容疑を全面的に否認しているというが、青森地検が立件に向けてゴーサインを出した事件だけに、起訴されるのはほぼ間違いないだろう。

■青森地検と青森県警が捜査方針で対立

ただ、気がかりなのが、捜査方針を巡る青森県警と青森地検の対立だ。2年にわたる粘り強い捜査で石山隆容疑者らの逮捕にこぎつけたものの、実は、犯人隠避のほかにも立件すべき「医師法違反容疑」が浮上しているという。だが、地検は医師法違反での立件に後ろ向きといい、ある大手新聞社記者は「検察は、確実に有罪立証できる犯人隠避だけしか事件化しようとしておらず、警察は憤っている」と明かす。

そもそも、瀕死だった被害者の手当は医師の診察なしに看護師だけで行われ、医師による診療を義務づけた「医師法」にも違反しているのは明白だ。さらに同病院では、こうした看護師だけが患者をみるという医師法違反行為が横行していたとされ、青森県警は2023年段階で、医師法違反容疑でも病院の強制捜査(捜索)は実施している。

ただ、青森地検は「医療業界を極力敵に回したくない」などの不可解な理由から、医師法違反での立件に難色を示し、頑なにゴーサインを出さないようだ。

患者に寄り添い、患者を救うのが病院や医師の使命であることは言うまでもない。今回の事件は、その病院で殺人事件が起き、それを隠蔽までしようとしたとされ、極めて悪質だ。  

医療法人のトップでもある石山隆容疑者らが、なぜ医療関係者にあるまじき「愚行」に走ったのか。徹底解明に向け、医師法違反容疑でも石山兄弟を再逮捕するなど、捜査機関による厳格な対応が求められる。青森地検は一体どこをみて仕事をしているのか。そう問いかけたくなる。

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