政治•経済 社会•事件 レーガン時代のスター・ウォーズ計画の再燃か「ゴールデン・ドーム」システムとは
レーガン時代のスター・ウォーズ計画の再燃か「ゴールデン・ドーム」システムとは
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2025/06/29

 トランプ米大統領は5月20日、中国やロシアなどの脅威から米国を守るための大規模な次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」を構築する計画を発表し、同プロジェクトの主任プログラムマネージャーに米宇宙軍副作戦司令官のマイケル・グートライン大将を任命したと発表した。

 カナダも「ゴールデン・ドーム」への参画を希望しており、米国はカナダを支援するとの考えも示した。

 ゴールデン・ドームは、トランプ氏が、イスラエルの「アイアン・ドーム」に似たミサイル防衛システムを米国にも導入すべきだと主張したことに始まっている。

ちなみにイスラエルの「アイアン・ドーム」は、ロケット弾や迫撃砲などを迎撃するアイアン・ドームや指向性エネルギー兵器のアイアン・ビーム、ロケット弾などに加えて短距離弾道ミサイルまでを迎撃するダビデスリング、および弾道ミサイルを迎撃する「アロー2・3」などから構成される多層防空システムである。

現在米国の本土防空体制は、北朝鮮のような国からの不法な長距離ミサイルを撃墜することを目的とした地上配備型ミッドコース防衛(GMD)システムに依存している。

 そのためロシアや中国のような強力な弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどを有する国からの大規模な攻撃があった場合、その有効性は限定的なものとなるとの危機感がある。

中国は21年、極超音速技術を搭載した「部分軌道爆撃システム(FOBS)」の実験を行い、米国の最新鋭ミサイル防衛網を突破可能な能力を示した。

こうしたことから国家安全保障の専門家らは、中国とロシアが近年、極超音速兵器の開発で米国を上回っているという認識で一致している。これがゴールデン・ドームを推進する大きな要因となっている。

 こうした背景から2025年1月に発令された大統領令では、「米本土に対するいかなる外国の経空攻撃も抑止し、自国民と重要なインフラを守ることが米国の政策である」と宣言した。

 この政策には「ピア(対等国)、ニアピア(近対等国)、ローグ(ならず者国家)の敵からの弾道ミサイル、極超音速ミサイル、先進巡航ミサイル、その他の次世代経空攻撃に対する防御」が含まれると明記されている。ピアはロシア、ニアピアは中国、ローグは北朝鮮とイラクを指している。

 ゴールデン・ドーム構想は、レーガン元大統領が推進した「戦略防衛構想(SDI構想=スター・ウォーズ計画)」を思い起こすが、同計画は実戦配備の目処が立たない中、ソ連(当時)のゴルバチョフ政権誕生をきっかけに緊張緩和と軍縮路線が加速し、その存在意義を失ったため冷戦終結と相前後して自然消滅した。

 トランプ氏は「ゴールデン・ドームの設計は既存の防衛能力と統合され、私の任期終了前には完全に運用可能になるはずだ」と自身の任期が終わる29年1月、約3年で完成するとの見通しを述べている。

 さて日本は、中露朝などと海を隔てている米国と違い、米国から見た対等国のロシア、近対等国の中国およびならず者国家の北朝鮮に隣接し、これら周辺国からの「眼前の脅威」にさらされている。

 イランはイスラエルに対し一挙に約300発のミサイルとドローンによる波状攻撃を仕掛けたが、イスラエルはアイアン・ドームの効果もあり被害を最小限に食い止めた。

 この世界の現実を直視すれば、日本は長期の激烈な経空攻撃に耐え得えうるのか、あるいは数百といった同時ミサイル・ドローンによる飽和攻撃に同時対処できるのか、国土全体に及ぶ攻撃から安全を守れるのか問わなければならない。今一度、既存のBMDシステムを真剣に検証することが求められている。

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