第48回 椎野礼仁のTANKA de 爺さん 下手くそな歌
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2026/03/23
16日、先週の月曜日、三日ぶりに外に出たのだが、軽いショックを感じた。街が明るい。顰蹙を買うかもしれないが、若い女性の華やいだ服装、はっきり言えばスカートから現れた伸びやかな脚に目を奪われたのだ。
そこで10年以上前に作った歌を思い出した。
寒風をついてニョキニョキ素足伸ぶ 同志だ君らは春を喜ぶ
個体差を問うまでもなく君たちの夏の素足におののいている
不躾な視線を許せ君たちの弾む若さを吸い込みたいのだ
下手くそだなぁ、全く。理屈っぽい。春のうららを素直に歌えてない。「同志」「個体差」とか生硬い言葉を使って個性だと思ってる。この学生運動上がりめが! 今年の初めころ、『夢幻泡影』という歌集を紹介したが、あの作者加藤保典さんなら、同じ情緒をやわらかな言葉を使って、伝統的な美しい和歌のような歌を作ることだろう(そういう作品で東京新聞の短歌欄ではしばしば入選している)。
実は、上掲の2首目は、西東三鬼の代表句「おそるべき君等の乳房夏来る」を多少意識した。ただ、この句はWikiによると「戦後(昭和20〜22年頃)の解放感と女性の生命力を詠んだ名句。抑圧から解放された若い女性たちが胸を張って歩く姿を「おそるべき」と表現し、夏という季節のエネルギーと重ね合わせ」とある。三鬼が国による俳句弾圧の「京大俳句事件」に連座(1940年)したことを思えば、深い俳句だ。勉強して出直してきます(そんなに人生、残ってないが)。
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