連載•小説 椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第19回 能楽堂の恋
椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第19回 能楽堂の恋
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2025/08/11

 私の短歌は、なによりも「わかりやすさ」を眼目にしている。だから定型、五七五七七という韻律を割と守り、言葉も平明で、現代用語の基礎知識を引かなければわからないような語彙は使わない、と言うか使えない。

ところが我が敬愛する歌人=荒井眞喜子という人の場合は、全くの正反対。というより、同じ地上の生産物とは思えないくらい、異なっている。

作品を示してしまおう。その方が話が早い。

氷すいが涼しくてあなたに抱いてほしかった。もうすぐ帰省するお兄さん

これをメールしてきて「どう? 涼しくなりましたか」だって。で、

「えっ、インセストタブー的な? サッブー」と言ってもらえる系です、と。

分からないので意味を求めると、

「実の兄に恋するカワイイ妹系です」

さらに、「インセストタブーは、日本では能楽堂の恋と言うかも」とも。

うーん、ギブアップ。広辞苑第6版(2008年刊)にあるかどうか「インセスト」を引いてみたら1行「incest   近親相姦。近親姦」とあった。「能楽堂の恋」で止めとけばよかった。

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