椎野礼仁のTANKA de 爺さん 第15回
連載•小説
2025/07/14
一人ずつ真闇の鉄路に降ろされて「朝まで守れ」満州鉄道
「朝になるとみんな真ん中に集まってる。怖いからなぁ」父、淡々と
“ミスターチーノ!” 捕虜の英兵がすぐに呼ぶ 大学出ている二等兵を
歩けない英兵とても運べない「道端に置いてそのまま来たんだ」
父と戦争の話をしたことは、先週と今週のエピソードに書いたことぐらいしかない。
もう一つだけ、「どんなふうに勝ち負けが決まるの?」なんて質問もしたことがある。
「なんとなく決まっていくんだ」
というのが答えだった。敵に直接遭遇したことはないような印象だった。この答えも、そういうことだろう。
こちらが高校生の時の質問だから、父もあまり深い話はしても仕方がないと思ったのだろうか。
これは自省を込めて言うが、学生運動をやっていた時にまともな会話を、たぶんお互いに避けてしまった。一部上場会社の労組も委員長を経て、会社で階梯を上がっていって、役員になった父。
そういえば、こういう短歌も作ったことがある。
40年総務畑を務めあげし父の書棚の大杉栄
川上肇の『貧乏物語』もあったし、コリン・ウィルソンの『アウト・サイダー』もあった・・・。
実は私が短歌を読むようになったのは、父がある結社の支部長を務めていたからだ。父の歌には直接戦争を歌ったものはなかったように思うが、本稿を書いていて、もう一度、読み直してみようと思った。
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