連載•小説 北島純のオススメ映画NOW『宝島』
北島純のオススメ映画NOW『宝島』
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2025/10/16

今回から始まる映画コラム「オススメ映画NOW」。これはいま観た方がいいというオススメの映画やドラマを紹介していきます。
まずは、大友啓史監督の映画『宝島』(9月19日から公開中)。
戦後アメリカ統治下にあった沖縄を描いた大作です。原作は真藤順丈の同名小説。NHK出身で『龍馬伝』の演出や『るろうに剣心』の監督で知られる大友啓史監督が、多くの人が知っているようで実はよく知らないアメリカ占領下の沖縄を正面から描くことに挑戦した映画で、日本映画では珍しいスケールの大きな作品です(敬称略、以下同様)。

当時の沖縄を再現したセットの作り込みがスゴい
出典:映画『宝島』公式サイト

米軍基地から物資を奪って住民に分け与える義賊のリーダーを永⼭瑛太、その弟を窪⽥正孝、恋人を広瀬すず、幼馴染を妻夫⽊聡が、これでもかというぐらいに熱演しています。妻夫木といえば、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で八木上等兵を演じて国民的人気が再ブレイクした感がありますが、コザ暴動(1970年)のシーンで見せる激情の演技は必見です(広告業界を描いたコメディ映画『ジャッジ!』(2014年)のCMプランナー役も必見ですが)。
コロナ禍を経て6年の歳月をかけて完成させたためか、いろいろな話がてんこ盛りで消化不良を起こしそうになりますが(191分の長尺)、それはとりもなおさず、戦後日本が「沖縄」から目を背け続けてきたという、「我々自身の消化不良」があるのではないかということに気付かされると、この映画、もう一回観たくなります。
(北島純・映画評論家)

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