連載•小説 連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.65『ひとり木下大サーカス~その1』
連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.65『ひとり木下大サーカス~その1』
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2025/11/26

木下大サーカスを観て来た。

会場に着いた俺はテントを見上げて「唐十郎何個分なんだ!」と早速感動した。テント演劇は観たことがあるが、サーカスは初体験である。

小屋の中へ入ると薄暗く、円形のステージ、塔のような鉄骨、巨大な丸い籠などが見え、その幻影のような雰囲気に、今度は「江戸川乱歩何冊分なんだ!」と感動した。

俺のチケットは自由席なのだが、そこにはボクシンググローブのようなクッションが貼ってあり「ロッキー何作分なんだ!」と、最後はいささか強引な例えが頭をよぎりながら座席に着いた。

「わ~いチャーカスだ~」

隣には男の子2人と赤ん坊を抱いているお母さんが座った。周囲をよく見ると、子連れの家族が多い。そしてよく見ると、一人で来ているのは俺だけ?デビューがいきなり一人サーカス!でも、周りから見たら「チャーカスだ~」のお父さんに見えているかも。

間もなく開演だ。と、突然「見てピエロだ~」と男の子が立ち上がった。

 

(つづく)

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