連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.59『新幹線に乗りながら書いてみたかった(上)』
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2025/11/05
新幹線に乗りながら原稿を書いてみたかった。いかにも、売れっ子っぽいからである。
そんな長年の夢を、俺は先日やってみたのだが、非常に困った。というのも、そもそも新
幹線で書くということは、締め切りに追われている状況だと思うのだが、悲しいことに、
俺は暇すぎて出発前夜にアイデアが湧いてしまった。だったら、すぐに書けばよかったの
だが、これでは明日、新幹線ですることがなくなってしまう。本やスマホで時間をつぶす
のは過去の俺。これからは新幹線は動く書斎だ!そう言い聞かせて眠った。眠ったら、す
っかりアイデアを忘れてしまった。
何やってるんだ!いや、でも大丈夫。乗ればもっといい案が浮かぶはずだ。そう信じた俺
は、品川発、新神戸着に乗り込んだ。
「おおっ、西村京太郎のトラベルミステリーみたい!」
と一人盛り上がりながら座席についた。いよいよ夢が叶う瞬間だ。俺は小さなテーブルを
セットし、儀式のようにノートパソコンを開いた。
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