連載•小説 好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.40『サーカス』
好評連載『俺の名前は三遊亭はらしょう』vol.40『サーカス』
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2025/08/27

若い頃、サーカスに入ろうと思ったことがある。
なぜそんな夢を抱いたのかというと、求人誌に団員募集と書かれていたからだ。当時の求
人誌はコンビニ店員募集などの流れから、急にそのような非日常の職業が掲載されている
ことがあった。
「う~ん、コンビニかサーカスか?」
と有り得ない二択を迫られた俺は、昔テレビで観たサーカスを思い出し、なんだかとても
楽しそうだったなぁ、という理由で問い合わせの電話をした。
「もしゅもしゅ」
出たのは、やけに訛りのある男だった。喋り方が寺山修司に似ている。そういえば寺山は
サーカスみたいな演劇をしていた。
早速、俺は仕事内容を聞くと、
「家を一歩出れば、そこはもうシャーカシュ」
と寺山は答えた。そう、住み込みである。俺は軽い気持ちだったと反省して電話を切った
。だが、その後しばらく後悔した。
今年48歳の俺はサーカスは体力的に厳しい。あの時挑戦すべきだったと、振り返って、
やっぱり後悔している。

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