2025/10/27
まだクランクアップに至っていないものの本サイト一推し(予定)の泊誠也監督の映画『冤罪のつくりかた』。ここであつかわれる〝冤罪〟サンプルは2000年に発生したいわゆる『秋元司衆議院議員IR汚職事件』である。当時、衆議院議員で内閣府副大臣だった秋元司は、日本国内でIR事業を手掛けようと目論んでいた中国企業から多額の現金をもらっているという疑いで東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)に逮捕される。罪名は収賄罪。以降、秋元は裁判上はもとより一貫して罪を否認している。約6年の格闘の末、今年3月秋元は収監された。
泊は収監される前から秋元に接触し主張するところを聞いてきていた。なんでも泊は秋元とは高校の先輩後輩だそうで、「(秋元には)多少の興味を持っていた」(泊)そうだ。拘置所だけでなく収監後は刑務所にまで行って秋元に接見している。
「先輩後輩などはまあ些細な理由でありきっかけですね。(秋元の)話を聞くうち僕の中でなんというか『この事件を僕なりに扱っていかねばならない』とでもいうような漠とした意識に囚われるようになりました。そして(接見の)回を増していくうちそれは結晶化していった。『僕なりになにか社会に問いかけるようなそんな映画ができるはずだ』、漠としたものがいつのころからか強い使命感に替わっていったのです」(泊)。
だからといって一方的に秋元側に立ち、そこで〝冤罪〟を言い張るような映画を撮るつもりははじめからなかったという。
「〝冤罪〟を被害者側から描いた映画や書籍などは結構出ていますよね。それはそれでとても有意義だと思っています。けれどもそういうのは僕が撮る必要はない、というかあえて僕でなくともやれる人がいるでしょう。じゃあどのようにして〝冤罪〟を料理してやろうか、とことん考えました。そこで僕は秋元さんを〝罪人〟にした側の事情や有様を描くことにしたのです。いったいどのような意識や目的があって人が人を〝罪人〟として成立させていくのか、そこを映画の主題にしようと決めたんです」(泊)。
この発想の転換が期待度フルの作品に仕立てた。筆者はそこに泊のセンスの良さと潔さを見た。(つづく。敬称略)
廣田玉紀(フリーランスジャーナリスト)
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